広島県は太陽光発電の設置促進のための基金を創設


太陽光発電の設置促進のための基金

2012年03月23日

中国新聞サイトの3月22日記事「6700戸に太陽光パネル貸与」から一部を引用する。

住宅向け太陽光発電パネルの普及を促すため、広島県が創設する県民参加型の基金の枠組み案がまとまった。県民の出資や金融機関の融資で92億円の基金をつくり、4年間で県内6700戸にパネルを貸与する形で設置。7月からの電力買い取り制度で売電し、設置費用などを返済する仕組みだ。県は早期の事業化を目指す。

環境省によると「100億円に迫る規模の基金で家庭用の太陽光発電を普及させていく取り組みは聞いたことがない」としている。

「おひさま基金」(仮称)に県が10億円を出し、県民や県内の投資家の出資で30億円を調達。金融機関から融資42億円を受ける。残る10億円はパネルの工事業者やメーカーの出資を見込む。運営事業者には県出資法人や民間企業を想定する。

パネル設置は一戸建て住宅が対象で、1戸当たり出力を4キロワットと見込む。設置に住宅所有者の自己負担はなく、電力会社に売電し、パネルの賃借料として毎月一定額を10年間、運営事業者に払う。運営事業者は工事業者などに設置費を支払い、利益が出れば配当を出す。

電力会社の買い取り価格は未定だが、1戸当たりの賃借料を月1万6千円とした場合、住宅所有者は15年程度で利益が出ると試算。県の配当受取額も10年後に11億1千万円を見込めるとし、施策で県民に還元する。

住宅所有者から支払いが滞る事態に備え、徴収業務や債権管理を信販会社に委託。資金を回収できないリスクも信販会社が負う。
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7月施行の再生エネルギー特別措置法は太陽光などで発電した電力の全量買い取りを電力会社に義務化。買い取り費用は電気料金に転嫁される。パネルを設置できない個人や企業に不公平感があるとして、検討会が県民参加型の仕組みを検討していた。(C)中国新聞

広島県が太陽光発電設置の推進のためユニークな仕組みを考えた。大まかに言うと、92億円の基金を創設し、4年間で県内6700戸に太陽光パネルを貸与する。住民は設置費用の負担は無い。環境省によれば、このような100億円規模の基金は例がないそうだ。

概念図がわかりやすい。まず基金は、仮の名称を「おひさま基金」とする。基金総額は92億円だが、その内訳は次のとおりだ。
・県民、投資家:30億円
・金融機関:42億円
・広島県:10億円
・太陽光パネル工事業者/メーカー:10億円

太陽光発電設備を設置する家に設置のための負担はない。そしてその設備の賃借料として、毎月一定額を10年間、基金の運営事業者に支払う。太陽光発電の出力は4キロワットを想定している。毎月の支払い額は未決定だが、月1万6千円程度を見込んでいるようだ。支払うのは10年なので、合計支払額は192万円となる。この金額は、出力4キロワットの太陽光発電システムの価格としては現時点においては最低価格だろう。

設置住宅では売電収入が見込まれる。引用記事では「7月からの電力買い取り制度で売電」とある。これは重要なポイントだ。7月以降も、一般家庭の売電は電力会社の全量買い取りではなく今までどおり余剰分の買い取りと決まっている。それなのに7月からの新制度での買い取りと明記してあるのは、電力会社からみて基金の運営事業者が太陽光発電ビジネス事業者になっており、戸別ではなく全体としての契約になっているから、全量買い取りになる、と見てよいだろう。

全量買い取りであるらしいもうひとつの証拠は、引用記事中の「1戸当たりの賃借料を月1万6千円とした場合、住宅所有者は15年程度で利益が出ると試算」だ。10年間はこの賃料を払い、11年後からは賃料無しで売電収入が入るが、その後たった5年で元(192万円)が取れるとは、余剰電力買い取りではありえない。全量買い取りだから5年で可能なのだろう。

なお引用記事最後によればこの基金は、太陽光発電などの自然エネルギーによる電力買い取り資金は電力料金に上乗せされており、それでは太陽光パネルを設置できない個人・企業に不公平なので考えられた仕組み、とのことだ。そう、このブログでもこの不公平について何回か書いてきた。その不公平を少しでもなくそうとする今回のこの仕組みは評価できるが、まだ不公平は残っている。それは、今回の仕組みは戸建ての家が必要だからだ。アパート、マンション住まいに人はどうするか、別の仕組みが必要だろう。

 
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