風力発電


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日本の風力発電

2011年06月20日

”日本で唯一の「環境金融」の内外情報サイト”が謳い文句のFinance GreenWatchサイトの6月17日記事「風力発電、新設3年ぶり減少 補助金停止が逆風 (日経)」から一部を引用する。これは日経新聞の記事のようだ。

国内で風力発電所を新たに建設するペースが減速している。日本風力発電協会(東京・港、永田哲朗代表理事)の調査では、2010年度に稼働した風力発電の設備能力(新規導入量)は26万キロワットと、3年ぶりに前年度実績を下回った。福島第1原子力発電所の事故を受け、風力など再生可能な自然エネルギーへの期待が膨らんでいるが、足元では停滞が続く。

10年度の新規導入量は前年度比13%減で、ピークだった06年度に比べ約35%減の水準。従来、風力発電所の建設費用の3分の1を国が補助していたが、10年度から新規案件への適用を停止したことが響いた。今国会に提出された再生可能エネルギーの買い取りを電力会社に義務付ける法案も成立のメドが立っていないことも、伸び悩む原因となっている。

風力発電専業業者の経営は厳しい。日本風力開発は和歌山県の発電所を大阪ガス子会社に売却。九州で風力発電所を運営するジャネックス(福岡市、川上繁幸社長)は新設を見合わせている。三菱重工業など風力発電プラントメーカーの多くも国内市場の拡大には慎重な姿勢を見せている。

日本の風力発電の設備能力は10年度末で244万キロワット。日本風力発電協会は20年度までに1100万キロワットに高める目標を掲げているが、現状は原発2基分程度にとどまっている。

海外では風力発電の導入が進んでいる。世界風力エネルギー会議(GWEC)によると、10年12月末時点の風力発電設備の能力は世界で約1億9000万キロワットと、09年末に比べ22%増加した。

中国は政府が税制面で優遇していることもあり、10年末の発電能力は前年比64%増の4228万キロワット。米国でも15%増の4018万キロワットに達している。(C)Finance GreenWatch、日経

自然エネルギーによる発電と聞いて最初に思い浮かべるのは太陽光発電、次に風力発電と思う。その風力発電が日本においては停滞している、という記事だ。

そもそも日本は風力発電が少ない。2010年度末で風力発電の設備能力が日本は244万キロワットであるのに対し、中国は4228万キロワット(前年度から64%増)、米国は4018万キロワット(前年度から15%増)と、それぞれ日本の約20倍近い規模だ。日本の規模は原発の約2基分にしか過ぎない。

そして日本では、その2010年度の新設実績は3年ぶりに前年度実績を下回った、とのことだ。一方、世界中の風力発電設備の能力は前年度実績では22%増。日本は完全に遅れを取っている。

これはひとえに政治の責任。自然エネルギーによる発電の買取法案がまだ成立していないためだ。そして風力発電会社の経営は大変苦しいようだ。

とはいえ、このブログで何回も述べているとおり、風力発電の騒音とバードストライクの問題を解決しないままの風力発電の進展は避けるべきだ。先日CS放送で見たが、円筒型で周りに金網を張った風車を見た。これは騒音問題とバードストライクの両方が解決できるアイデアらしい。そしてこの風車は、ビルの屋上などにビル風を利用するためにも設置できるとか。アイデアを出して次世代風力発電を日本が開発すべきだろう。

風力発電だけで原発は不要

2011年04月25日

政治家・政府・電力会社・学会・マスコミは巨大な原発利権に取り込まれている。いくら市民が反原発を訴えても、原発全廃への道程は遠いだろう。この状況で、環境省が今後の自然エネルギーについての試算結果を発表した。なんと「風力発電で原発40基分の発電可能」という結果だ。原発利権に遠慮しながらもこの試算結果なので、本当はもっと大きな(良い)数字になるに違いない。なにせ今回の原発の件で、政府は本当の情報を隠している、とほとんどの市民は考えているからだ。4月22日付の朝日新聞サイト記事から一部を引用する。

環境省は21日、国内で自然エネルギーを導入した場合にどの程度の発電量が見込めるか、試算した結果を発表した。風力発電を普及できる余地が最も大きく、低い稼働率を考慮しても、最大で原発40基分の発電量が見込める結果となった。風の強い東北地方では、原発3~11基分が風力でまかなえる計算だ。

同省は震災復興にあたり、風力発電を含めた自然エネルギーの導入を提案していく方針だ。

今回の試算は、理論上可能な最大導入量から、土地利用や技術上の制約を差し引き、さらに事業として採算性を確保できることを条件に加えた。

試算によると、固定価格買い取り制度など震災前に政府が決めていた普及策だけでも、風力なら日本全体で約2400万~1億4千万キロワット分を導入できる。風が吹いているときだけ発電するため、稼働率を24%と仮定。それでも出力100万キロワットで稼働率85%と仮定した場合の原発約7~40基分に相当する。

ただし東北など電力需要を上回る発電量が期待できる地域がある一方で、電力会社間の送電能力には現状では限界がある。試算どおりに導入するのは短期的には難しいとみられている。

家庭以外の公共施設や耕作放棄地などを利用する太陽光発電や、用水路などを活用する小規模の水力発電についても検討したが、多くの導入量は見込めなかった。これらを普及させるには、さらに技術開発を促すなど追加的な政策が必要だという。(C)朝日新聞

まさに風力発電にとっては「追い風」の試算結果だ。震災前に導入されていた普及策により導入が進んだと仮定すると、風力発電は日本全体で約2400万~1億4千万キロワットの出力となる、とのこと。

しかし風力発電は風が吹いているときにしか発電できないので、稼働率を24%と仮定する。

一方、原発1基の出力を100万キロワットと仮定する。しかし原発は定期点検や事故でいつも動いているわけではない。原発の稼働率を85%と仮定する。

すると、風力発電で見込まれる発電能力は、原発の約7~40基分にも相当する、というのが今回の試算結果だ。

今回の事故の影響を考えると、原発の稼働率85%は極めて甘い。実際には、風力発電だけで原発54基分の発電も可能なはずだ。ちなみにこの54基という数字は、日本における原発の総数である。

風力発電だけでもこの数字となる。現実には太陽光発電の導入は急速に進んでいる。これらを考えると、「自然エネルギーだけで充分であり原発は不要」、と以前から巷では言われていた説を、環境省資産が裏付けた、とも言える。

ただ、風力発電には低周波騒音とバードストライクという重大な問題がある。これらが解決されない内は、やはり太陽光発電など太陽エネルギー利用発電が最も望ましいと考える。

低周波騒音で風力発電の設置断念

2010年03月29日

今日は風力発電の話題。毎日新聞サイト3月25日記事「中電:愛知・静岡県境、風力発電計画を白紙撤回へ」から。

中部電力は24日、愛知・静岡県境に風力発電施設を建設する計画を中断すると発表した。騒音懸念などで地元住民の理解が得られなかったためで、事実上の白紙撤回となる。中電が、建設予定地まで決めていた風力や太陽光発電計画をやめるのは初めて。

計画は06年11月に決定。愛知県豊橋市と静岡県湖西市にまたがる海岸沿いに風力施設を13基設置し、12年度から一般家庭約1万7800戸分をまかなえる6400万キロワット時を発電する予定だった。(C)毎日新聞

中部電力は計画していた風力発電13基の建設を住民の反対で断念した、というニュースだ。設置予定場所は愛知県から静岡県にまたがる海岸沿い。出力は合計6400万キロワット、ということは、64ギガワット!!。風力発電は太陽光発電に比べて規模が大きい。

このブログで何回か話題にしているとおり、風力発電には低周波騒音とバードストライクの2つの問題がある。今回はその低周波騒音に対する地元の反対で計画が頓挫した、というわけだ。

その風力発電による低周波騒音についての最近の話題では、3月13日付の毎日新聞サイト静岡版記事「東伊豆の風力発電施設:風車で健康被害、因果関係認めず 公害調整委で会社側 /静岡」がある。

東伊豆町奈良本にある民間の風力発電施設をめぐり、近くの住民が「風車の出す低周波音で健康を害した」として因果関係の認定を求める原因裁定の第1回審問が12日、公害等調整委員会(東京都千代田区)であった。風力発電の低周波音をめぐって同委員会が開かれるのは初めて。
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申請書などによると、同地区の尾根沿いで08年1月から、風力発電機10基(支柱の高さ約65メートル)が稼働。350~800メートル離れた住民に頭痛やめまいなどの症状が出たと主張している。

初審問で住民側は「風車が停止したときには体調が戻った」と陳述。会社側は、周辺で調べた音に関するデータなどを提出し「低周波音と健康被害の因果関係は認められない」と主張した。裁定委員は5月以降、現地で調査や裁定を行う予定。(C)毎日新聞

低周波騒音は被害の立証が難しいようで、工場の騒音などで全国で訴訟になっている。この引用記事では、風力発電10基から350~800メートル離れた住民に健康被害が出ているようだ。

やはりヨーロッパのように、低周波騒音を避けるには風力発電施設は海上に設置するしかない。それでもバードストライク問題は解決しないが。

コスモ石油は風力発電会社を1円で買収

2010年02月09日

今日は風力発電の話題。2月9日付の朝日新聞サイト記事「風力発電子会社を1円で買収 コスモ石油が荏原から」から一部を引用する。

石油元売り大手のコスモ石油は9日、荏原製作所の風力発電子会社を1円で買収すると発表した。コスモ石油は小規模な風力発電所を操業しているが、買収で規模を拡大する。主力の石油事業の業績が低迷するなか、風力発電に本格参入する方針だ。

コスモ石油が買収するのは、エコ・パワー(本社・東京)。荏原製作所が48億円を増資して財務内容を改善した後、コスモ石油が3月下旬に株式の98.8%を1円で買い取る。エコ・パワーの風力発電所は、北海道や東北など国内に25カ所ある。出力は計14万7千キロワットで、国内4位の規模とされる。

エコ・パワーの売上高は約15億円だが、風力発電所の故障などで稼働率が下がり、赤字が続いていた。一方、コスモ石油は2004年に山形県酒田市で出力1500キロワットの小ぶりな風力発電所を開業。地球温暖化対策で風力発電への需要は高まるとみて、買収を決めた。エコ・パワーの黒字化には稼働率の向上が必要で、発電所の保守・管理などを強化する方針だ。 (C)朝日新聞

コスモ石油が風力発電会社をたったの1円で買収する、という記事だ。買収されるのは荏原製作所の子会社のエコ・パワー。同社は大赤字のようだが、荏原製作所が48億円を同社に増資して財務内容を改善した後に、1円買収が実行される。荏原製作所側は48億円も出資してメリットが全然無いように思うが、大赤字の連結子会社を綺麗サッパリ清算する、ということか。

コスモ石油は風力発電においては2004年にたった1500キロワットの風力発電所を開設しただけの実績だ。一方エコ・パワーは出力合計14万7千キロワット、つまり147メガワットで国内4位の規模、とのこと。コスモ石油は今後、風力発電の需要が高まるとの読みで買収するようだ。ただ1円で買い取っても今までのように赤字が出ては買収した意味がないので、徹底した業務改善が実施されるのだろう。

ともかく風力発電の世界に石油元売り大手が参入した、ということだ。昭和石油は太陽光発電に注力しているし、石油会社は将来の石油資源枯渇に備えて動き始めている。

ユーラス社の風力発電と太陽光発電で100万キロワット

2010年02月03日

朝日新聞サイトの1月29日記事「原発1基分の風力・太陽光発電所新設へ ユーラス」から一部を引用する。

国内最大の風力発電会社、ユーラスエナジーホールディングス(本社・東京)は28日、今後5年間で原子力発電所1基分にあたる出力計100万キロワット分の風力・太陽光発電所を国内外に新設する方針を明らかにした。

風力発電など再生可能エネルギーの発電事業が急拡大するなか、規模拡大を急ぐ。ユーラスが操業している発電所は、ほとんどが風力。北海道や青森県など国内で45万キロワット、欧州や米国など海外に139万キロワットの計184万キロワット。

ユーラスが今後5年間で増やす出力100万キロワットの大半も風力でまかない、1割程度を太陽光にする計画だ。主に米欧に建設する。ユーラスに共同出資している東京電力と豊田通商は28日、今後の投資に備え、計250億円の増資を決めたと発表した。
...(C)朝日新聞

ユーラスエナジーホールディングス(以下、ユーラスと略記)は風力発電事業の国内シェアトップの会社だ。同社の株主は東京電力60%、豊田通商40%だ。電力会社と商社が組んでいるというところに興味を惹かれる。同社が操業している風力発電は、日本国内が45万キロワット、海外が139万キロワット、というから大規模だ。

さて同社は、今後5年間で100万キロワット分の風力発電所・太陽光発電所を国内外に設置する方針。この出力100万キロワットという規模は原子力発電所1基分というからこれまた大きな話だ。そのため同社は250億円もの増資を決定したそうだ。同社はいままで風力発電専門だったが今後は太陽光発電にも進出するため、このような大規模な増資が必要なのだろう。ちなみにその100万キロワットの1割程度が太陽光発電、とのことだ。

ちなみにこのユーラスの風力発電開発についての条件は非常に参考になる。風力発電所設置のためには次の条件がクリアされなけばならない。

1.6.5m/s以上の風がある
2.広大な土地がある
3.幅5m以上の輸送路がある
4.送電線が近くにある
(C)ユーラスエナジーホールディングス

これらのうち「1.6.5m/s以上の風がある」は結構厳しい条件だ。年平均風速が6.5m/s以上、ということなのだ。海沿い、または山の風の通り道、のようなところになってしまうだろう。

なお、このブログで何回か触れているが、風力発電の推進のためには、バードストライクと低周波騒音の対策がどうしても必要だ。同社のホームページにはこれらの対策が全く書かれていなかったことはトップシェア会社の社会的責任を感じているのか疑問を持たざるを得ない。

風力発電と太陽光発電の経済性比較

2009年12月20日

このブログの12月13日記事「風力発電が進展しないワケ」で、風力発電には低周波騒音、バードストライク(風車への鳥の衝突)、景観の3つの問題があることを書いた。また12月16日記事「風力発電の風車に天然記念物オオワシが衝突・分断」ではそのバードストライクの例としてオオワシが真っ二つに分断された例を書いた。これらは風力発電のダークな部分だが、今日の話題は風力発電の陽の部分、経済性の良さについてだ。毎日新聞サイト西部版の12月16日記事「風力発電所:長崎・五島に完成 九電工、来春通常運転へ」によると次のとおりだ。

九電工は15日、長崎県五島市に建設していた「五島玉之浦風力発電所」が完成したと発表した。既に試運転を始めており、来春には通常運転となる見通し。

風力発電所は五島市玉之浦町に約39億円をかけて建設した。九電工グループの風力発電設備としては5カ所目となる。風車7基で総出力は1万4000キロワット。年間想定発電量は3万7675メガワット時で約1万1000世帯分の電力量がまかなえる。二酸化炭素は全電源平均に換算すると、年間1万4200トンの削減効果があるという。発電した電力は九州電力に販売する。(C)毎日新聞

この新風力発電所の出力は1万4000キロワット、つまり14メガワットだ。もしこれが太陽光発電なら国内トップクラスだ。そして総工費は39億円。ということは、39億円を1万4000キロワットで割ると、1キロワット当たりの工費は約28万円となる。太陽光発電は、家庭用なら1キロワット当たり50万~70万円、メガソーラークラスなら家庭用よりは少し安いが、この風力発電の設置費用にはとても太刀打ちできない。なるほど、出力1キロワット当たりの設置費用という観点から見ると、大規模発電所なら風力発電のほうが約倍ほど有利なのだ。

さてこの風力発電は上記のとおり出力は14メガワットだ。もし14メガワットの太陽光発電所があると仮定すると、年間発電量は約1万4000メガワット時だ。ところがこの風力発電所の年間発電量は、3万7675メガワットと、太陽光発電の約2.7倍の発電量なのだ。太陽光発電は太陽の照っている日中のみの発電だが、風力発電はある程度の風が吹いていれば一日中発電可能、という差が出てくるのだろう。

ということで、大規模発電所の場合は太陽光発電よりは風力発電のほうが経済性に優れていることは数字から立証された。

しかし、ここは声を大にして言わなければならないが、低周波と景観対策のため風力発電所を洋上に設置したとしても、バードストライクの問題の根本的解決がなされるまでは、風力発電は積極的に展開すべきではない、と私は考えている。

 
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