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自動車運搬船の太陽光発電

2012年01月30日

時事通信社サイトの1月30日記事「省エネ型運搬船を公開=災害時の電源にも-日産」から一部を引用する。

日産自動車は30日、最新の省エネ型自動車運搬船「日王丸」を報道陣に公開した。同船は、1万8000馬力の高効率ディーゼルエンジンを搭載。船内照明を発光ダイオード(LED)とし、電力の一部を太陽光発電装置で賄うことでエネルギー消費を抑えた。これにより従来の同型船に比べ燃料消費を2割抑制、二酸化炭素(CO2)排出量を年4200トン削減できるという。

東日本大震災での大規模停電を教訓に、船内の発電機から1000キロワットの電力を陸上に供給する機能も持たせた。(C)時事通信社

太陽光発電設備を備えた自動車運搬船の話題だ。類似の自動車運搬船については、このブログの1月17日記事「自動車運搬船に太陽光発電を搭載」に書いた。そのときの記事によれば、商船三井の自動車運搬船の太陽光発電設備は停泊中の船内電源の一部として使用される程度だ。それでも出力200キロワットだ。また日本郵船は、船の動力に太陽光発電による電力を使用する本格的船のようだ。

今日の話題の日産自動車の運搬船は前者のタイプ。船内の照明をLEDとし、船内電力の一部を太陽光発電で賄う。甲板に太陽光パネルが並べられた図を見ると、甲板にびっしり太陽光パネルが設置されているのがわかる。

太陽光発電の出力は上記記事からは明らかではないが、ディーゼルエンジンの燃料を約2割、抑制できるとのことだ。

この船のユニークな点は、船内の発電機から1000キロワット、つまり1メガワットもの電力を陸上に供給できることだ。これは東日本大震災の教訓で装備した、とのことだ。

太陽光発電とディーゼル発電のハイブリッド自動車船

2011年07月21日

神戸新聞サイトの7月16日記事「ハイブリッド自動車船建造 三菱重工神戸造船所」から。

三菱重工業と三洋電機、商船三井は、太陽光発電システムとリチウムイオン電池を搭載した「ハイブリッド自動車船」の外観デザインと基本設計を終えたと発表した。ディーゼル発電機と併用し、船舶全体から排出される二酸化炭素(CO2)の削減を目指す。三菱重工神戸造船所(神戸市兵庫区)で建造し、2012年6月の完成を見込む。

甲板に160キロワットの太陽光発電パネル、船底にリチウムイオン電池を設置したシステムで、ディーゼル発電機とハイブリッドで電力供給を担う。

航行中に太陽光で発電した電力を蓄え、主に停泊中に使用する。これによって停泊中にディーゼル発電機を停止でき、港内で排出物を出さない「ゼロエミッション化」につなげる。
...(C)神戸新聞

三菱重工業と三洋電機、商船三井が開発している「ハイブリッド自動車船」の話題だ。このハイブリッド自動車船については、このブログの2010年1月17日記事「自動車運搬船に太陽光発電を搭載」で書いた。今日はその続編という内容だ。

上記引用記事によれば、この船の外観デザインと基本設計が完了した、とのこと。前回ブログ時点ではデザインは発表されていなかった。イメージ図のような外観だ。

この船は、太陽光発電設備を搭載している。前回ブログ記事中数字に比べると少々小さな数値だが、この太陽光発電設備の出力は160キロワット。ひとつの船でこの出力はかなり大きいだろう。なにせ、一般家庭約40軒分の出力なのだ。この太陽光発電設備で発電した電力は、船底のリチウムイオン蓄電池に蓄えられる。

この太陽光発電のほかに、通常のディーゼル発電機も搭載している。それがこの「ハイブリッド自動車船」たる所以だ。

この太陽光発電による出力は、航行時の推進には使用されない。航行中は太陽光発電を蓄電するのみで、主に停泊中の電力として使用する。目指す目標は、"港内で排出物を出さない「ゼロエミッション化」"とのことだ。

なおこの船の完成は、来年、2012年6月の予定。

港内での「ゼロエミッション化」だけでなく、次は航行時も太陽光発電による電力で推進し完全な「ゼロエミッション化」を達成する船の開発に乗り出してもらいたい。

電気で動く船

2010年01月19日

このブログの1月17日記事「自動車運搬船に太陽光発電を搭載」で、商船三井が建造中の太陽光発電搭載の自動車運搬船について書いた。ただこの船の航行には電力は使用されない。太陽光発電を蓄電池に蓄え停泊中に船内電源として利用するのみである。今日の話題は、船の推力に電気を使用する話だ。朝日新聞サイトの1月18日記事「プラグイン、ハイブリッド…船にも電動化の動き」から一部を引用する。

電気自動車の普及が進むなか、船舶でも電動化の取り組みが始まった。リチウムイオン電池を使った「プラグイン船」や、電動モーターでエンジンの働きを助ける「ハイブリッド船」。いずれも実現すれば世界初となる、環境に優しい船だ。

IHIの子会社が開発中の「プラグイン船」はリチウムイオン電池を搭載、港に置いた充電器にコードを差し込んで充電する。モーターでプロペラを回して進む。ディーゼルエンジンを使わないので、航行中に二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物は出ない。

全長30メートル、旅客定員800人の旅客フェリーの製造を計画している。電池の容量は電気自動車の200~300倍。連続で70~80キロを航行できるという。電池の低価格化が進むとみられる2015年の実用化を目指す。
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一方、三井造船は長距離の貨物船へのハイブリッドシステムを計画する。昨年秋、大阪大などと共同研究を開始。12年に設計を終える方針だ。現行の船に比べてCO2の50%排出削減を目標にする。

ディーゼルエンジンでモーターを回して進む。モーターは発電機の機能も備え、発電した電力を電池にためる。波が高い場合など大きな推進力が必要な時は、電池からモーターに電気を送って助ける。電気だけでの航行もできる。今後、塩に強い電池の仕様など技術面の課題に取り組む。(C)朝日新聞

車の世界ではハイブリッドカーは非常に普及しており、また電気自動車も普及が始まる段階だ。船の世界にもようやくその動きが出始めた。

IHIの子会社が開発中の船は「プラグイン船」。定員800人の旅客フェリーを計画している。電池容量は電気自動車の200~300倍というからかなりの容量だ。動力は電気のみで、モーターでスクリューを回す船だ。蓄電池はリチウムイオン電池で、港の充電器にコードを差し込んで充電する。フル充電で70~80キロを航行可能、とのことだ。この船はディーゼルエンジンは搭載しないので、航行中に二酸化炭素は発生しない大きなメリットがある。ただリチウムイオン電池はまだ高価なので、低価格が進む2015年の実用化が目標、とのことだ。

また三井造船は「ハイブリッド船」を計画。長距離の貨物船が対象。ハイブリッドカーと同様に、動力はディーゼルエンジンだが発電機の機能も持ち発電電力を蓄電する。車とは違い、大きな推進力が必要なときにモーターも回す。もちろんディーゼルを動かさずに電気だけで航行することも可能だ。この船は現行の船と比較して二酸化酸素50%減が目標、とのことだ。

これらの船は太陽光発電システムは搭載しないようだが、太陽光発電とは非常に相性の良い船なので、将来は太陽光発電システムも併設されることは間違いないだろう。

自動車運搬船に太陽光発電を搭載

2010年01月17日

このブログの昨年11月18日記事近未来のエコ船に引用した商船三井の自動車運搬船は次のとおりだ。

商船三井(東京)は9月、「船舶維新」をキーワードに、外洋航行中のCO2排出量を5割に減らすなど「環境に配慮した」自動車運搬船のデザインを公表した。太陽光パネルの利用や改良型スクリューの装着が特徴で、港湾内での航行や荷役中には排出ゼロを実現できるという。(C)共同通信

今日はこの関連話題だ。SankeiBizサイトの1月14日記事”太陽電池搭載の「ハイブリッド運搬船」を開発へ 三洋電機”から一部を引用する。

三洋電機は14日、商船三井、三菱重工業と共同で、太陽電池などを搭載した「ハイブリッド自動車運搬船」の研究開発を行うと発表した。航行中に太陽電池で発電、蓄電することで、CO2排出量削減を目指す。同日、国交省の平成21年度の補助対象事業として採択された。

商船三井が建造中の大型自動車運搬船(長さ約200メートル、幅32メートル、自動車5千台積載可能)の甲板上の約1300平方メートルに、三洋電機製の太陽電池(最大発電能力200キロワット)を設置する。航行中に発電した電力は、リチウムイオン電池に蓄電。約10日間の航行でフル充電されるという。

蓄えた電力は停泊中の車の積み卸しの際、船内の排ガスを排出するファンなどの電力として使用する。日米間の往復航行(1カ月間)で、燃費を約6・5%抑えることができるという。

24年の完成を予定。船の運航を通じて、CO2削減効果を検証する。(C)SankeiBiz

先のブログ記事では、商船三井が発表したのは自動車運搬船のデザインと概要だ。その太陽光発電に関する部分を、三洋電機を研究開発のパートナーに選んだ、ということが今日の話題だ。

商船三井が建造中の自動車運搬船には、三洋電機製の太陽光発電パネルを搭載する。最大出力200キロワットというから船に搭載する太陽光発電システムとしては最大規模だろう。そしてリチウムイオン電池も搭載し、太陽光発電電力を蓄電する。ただ引用記事によればこの蓄電された電力の用途は、「停泊中の車の積み卸しの際、船内の排ガスを排出するファンなどの電力として使用」とのことなので、蓄電容量としてはそれほど大きくは無いことが想像できる。

引用記事には一番興味のあることが書かれていない。それは、太陽光発電による電力が船の動力にどれだけ利用されるか、ということだ。記事には日米往復の約1ヶ月の航行で燃費を6.5%抑えることが出来る、と書かれていることから考えると、太陽光発電電力は動力にはほとんど使用されないように思える。

そこで商船三井のサイトを調べた。停泊中ゼロエミッションを目指したハイブリッド自動車船によると、この船は太陽光発電電力を動力には利用していない。「大洋航海中に太陽光発電システムで発電した電気をリチウムイオン電池に蓄え、停泊中に消費することでディーゼル発電機を停止」という機能だ。

ということは、太陽光発電による電力はリチウムイオン電池に蓄電するだけだ。上記引用記事によればリチウムイオン電池には約10日でフル充電できるとのことなので、フル充電に必要な10日以降の太陽光発電電力は無駄になってしまう。最大出力200キロワットの太陽光発電システムなのに、これは非常にもったいない。

日本郵船が実験しているように、やはり船の動力に太陽光発電による電力を使用することが望ましいのではないだろうか。

近未来のエコ船

2009年11月18日

このブログの10月14日記事「日本郵船の太陽光発電搭載船舶」で、日本郵船の太陽光発電システム搭載自動車運搬船のテスト航海について書いた。この太陽光発電システム搭載の船舶はもう実用段階だが、今日の話題はもう少し先の近未来のエコ船について。共同通信のサイト47NEWSの11月18日記事「大型エコ船でCO2削減へ 太陽光や風力利用、大手海運」から一部を引用する。

国際物流の9割以上を担う輸送船の二酸化炭素(CO2)排出量を削減しようと、日本の海運大手が太陽光などの自然エネルギーや燃料電池を活用した地球環境に優しい大型の「エコシップ」の開発を急ピッチで進め、「環境対策」への意欲をアピールしている。

風を推進力に変えるため翼のように伸びた8枚の帆や、甲板を覆う太陽光発電パネル―。社長肝いりで取り組みを始めた日本郵船(東京)は「近未来の省エネ技術を結集させた」コンテナ船の模型を横浜市で公開している。2030年には建造できるという「スーパーエコシップ2030」(全長352メートル)で、従来の大型船とはかけ離れた独創的な外観が特徴だ。

主要動力源には、取り外し可能なコンテナ式の燃料電池を採用。船体重量を約2割減らすなどして、重油のディーゼルエンジンで動く現在の船と比べ、CO2排出量を69%削減できる。

船底の外側に空気を送ることで海水との摩擦抵抗を減らす最先端技術を導入する一方、コンテナ積み降ろしの障害にならないよう太陽光パネルや帆は格納可能とするなど、実用性も重視した設計だ。

ライバルの商船三井(東京)は9月、「船舶維新」をキーワードに、外洋航行中のCO2排出量を5割に減らすなど「環境に配慮した」自動車運搬船のデザインを公表した。太陽光パネルの利用や改良型スクリューの装着が特徴で、港湾内での航行や荷役中には排出ゼロを実現できるという。(C)共同通信

この記事では、やはり日本郵船と、商船三井のエコ船について書かれている。先ず日本郵船が開発中の船は、次の特徴を持つ。
(1)風を推進力に変えるための翼のように伸びた8枚の帆
(2)甲板を覆う太陽光発電パネル
(3)取り外し可能なコンテナ式の燃料電池が主要動力源
(4)船底の外側に空気を送ることで海水との摩擦抵抗を減らす
(5)太陽光パネルや帆は格納可(コンテナ積み降ろしの障害にならないため)
これは凄い技術の結集だ。この共同通信記事を報じた東京新聞サイトにはこの船のデザインが掲載されているが、8枚の帆が独特のデザインで、なんとなく飛び魚を思わせる。

この日本郵船のエコ船は、従来の重油ディーゼルエンジンの船舶に比べ、69%もCO2を削減できるそうだ。

片や商船三井の未来船舶。太陽光パネルの利用や改良型スクリューの装着が特徴で、外洋航行中のCO2排出量を5割減らし、港湾内航行中は排出ゼロ、とのエコ船だ。この船のデザインは上記の共同通信サイトにある。

この話題とは関係ないが面白く思ったことがある。上記共同通信サイトのこの記事中の画像は商船三井の船のデザイン図。上記東京新聞サイトは日本郵船の船のデザイン図。そして、今日夕方配達された東京新聞夕刊中のこの記事中には、日本郵船と商船三井の両方の船のデザイン図が掲載されていた。紙面を購読したほうが情報をたくさん得られる、という作戦なのだろうか。

日本郵船の太陽光発電搭載船舶

2009年10月14日

少し前の記事だが、産経新聞サイトの9月2日記事「太陽光パネル搭載船を本格導入へ」から一部を引用する。

日本郵船は2日、太陽光発電システムを搭載した自動車専用船「アウリガ・リーダー」(6万213トン)の実証実験の中間報告を行った。日本-北米など4航海を行った結果、32メガワット時(MWh)の発電量を得ることができ、7トンの燃料削減、22トンの二酸化炭素(CO2)削減につながった。同社では今後、蓄電池を組み合わせた実験などを行い、平成22年以降に発注する自動車専用船から太陽光発電システムを本格的に導入する方針だ。

同システムは新日本石油と共同開発した。船のデッキ部分に40キロワット(kW)級の出力を持つ328枚の太陽光パネルを設置し、発電量に加え、船で使う動力や電力がどの程度まかなえるか調べた。

船は昨年12月19日以降、北米やカリブ海、中近東など4航海(207日)を行った。東京都内で陸上に設置した場合の1・4倍にあたる32MWhの発電が行われた。発電量は一般家庭17軒分の消費電力に相当し、ポンプや照明設備など船で使う電力の約1%、プロペラなどの動力の0・05%がまかなえた。

陸上設置時よりも発電量が多い理由として、日本郵船は「海風で発電システムが冷却されて発電効率が上がったことや、日射量が多かったことなどが考えられる」としている。強風や雷雨、海水などによる劣化は見られなかったという。

同社は今後、電力の安定供給を図るため、大容量の蓄電池を組み合わせた実験などを行う。実用化の際にはデッキ全体に約2千枚の太陽光パネルを設置し、年間約360MWhの発電量を見込む。この場合、船で使う電力の約半分が太陽光発電でまかなえる見通しだ。
...(C)産経新聞

日本郵船が行った、船舶に設置した太陽光発電システム実証実験結果の記事だ。この実証実験では、40キロワットの発電出力の太陽光発電システムを使用した。結果として、陸上設置時よりも発電量が多く、また心配されていた強風や雷雨、海水などによる劣化は見られなかった、とのことだ。

4航海での発電量は207日で32メガワット時、とのこと。さあ、計算だ。365日の発電量は、約56メガワット時、となる。システム出力は40キロワットなので、一般家庭に設置したときの年間発電量は約40メガワット時と想定されるので、たしかに記事にあるように陸上の1.4倍の発電量だ。

発電量が海上のほうが多かった理由として、日本郵船は「海風で発電システムが冷却されて発電効率が上がったことや、日射量が多かったことなどが考えられる」と考えているそうだ。この説は頷ける。

今回は実証実験だったが、実用化の際は「大容量蓄電池も設置し、デッキ全体に約2千枚の太陽光パネルを設置し、年間約360MWhの発電量を見込み、船で使う電力の約半分が太陽光発電でまかなえる見通し」というから壮大だ。今回の実証実験の約6倍強のスケール。ただ、長期間使用の間に海風で腐食が進むと思われるので、その対策がうまく行くか、懸念はある。しかしすばらしい試みなので、是非実用化してもらいたい。

 
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