太陽光発電


カテゴリー:太陽光発電

太陽光発電の土地の賃料

2012年03月30日

自治体が太陽光発電ビジネス業者に太陽光発電用の土地を貸す場合、その賃料はどれくらいなのだろうか。当ブログの前回記事「佐賀市のメガソーラー」の佐賀市の場合、概算だが賃料は売電売上の4.5~5%となった。また他の自治体で、賃料は売電売上の3%という記事を見たことがある。まとめると、私の知っている範囲では、賃料は売電売上の3~5%ということになる。今日は別の事例を検討する。

読売新聞サイトの3月23日記事「太陽光発電施設建設へ民間に用地賃貸…広島・尾道市」から一部を引用する。

広島県尾道市は21日、太陽光発電施設の建設用地として、同市高須町の浄水場跡地(1万8700平方メートル)を民間事業者に賃貸する方針を明らかにした。4月に公募する。

太陽光や風力などの「再生可能エネルギー」による電気を対象に、電力会社に買い取りを義務づける特別措置法が7月に施行される。尾道市は、発電量が1000キロ・ワット時以上の「メガソーラー」など、太陽光発電施設の建設を促進。市有地と民有地の計7か所を候補地に挙げている。

市によると、このうち4か所では、土地を所有する企業などが、電気を買い取る中国電力と協議を進めているという。残る3か所のうち、浄水場跡地では、発電量700キロ・ワット時程度の施設を建てることができ、市は賃貸料を1平方メートル当たり年間100~200円とする予定。
...(C)読売新聞

尾道市の場合、場所の浄水池跡地の面積は1万8700平米で、出力は700キロワットとのことだ。先ずは売上から計算する。この出力から年間発電量を概算すると、尾道市は日照に恵まれていることから、75万キロワット時程度だろう。また7月からの売電単価は未決定だが、とりあえず35円/キロワット時とすると、年間の売電売上は2625万円となる。

一方土地の賃借料は、1平米当たり年100~200円とのことなので、真ん中の150円とすると、面積は1万8700平米だから、年間の賃借料は約280万円となる。

結論として、土地賃借料は売電売上の約11%となる。これは、今まで見てきた3~5%よりはるかに高い金額だ。ただビジネスの世界で考えれば、土地賃借料が売上の約1割という話は全然問題のない金額だろう。とはいえ、今後様々な事例を見てゆくが、この1割は恐らくトップクラスの賃料と予想する。

ところで上記計算のとおり、出力700キロワットの太陽光発電所では年間売り上げは2625万円にしかならない。ここから土地賃借料、設備の減価償却、職員給与、メンテナンス費用を差し引くと、結構厳しいビジネスのように感じる。やはり数十メガワットクラスの大規模でないと、大きな利益の出るビジネスにはならないのではないだろうか。

超安値の太陽光発電システム

2012年03月19日

環境ビジネスサイトの3月12日記事「ヤマダ電機、オリジナル太陽光発電システムを1kW39万円台へ」から。

ヤマダ電機は、3月10日より普及価格「39万円台/1kW」を実現したオリジナル太陽光発電システムの販売を開始すると発表した。韓国S-ENERGY 社製の太陽光モジュールに必要なシステムを組み合わせ、一般家庭向けとアパート向けの2つのプランをパッケージ化することで低価格化を実現した。

本システムは韓国S-ENERGY社製の高性能太陽光モジュールをはじめ、オムロン製のパワーコンディショナー&カラーモニター、日本フォームサービスの架台、税・標準工事費など、システムを構成する要素をワンパッケージ化したもの。また、太陽光モジュールには25年の長期出力保証、システムには10年保証を付帯し信頼性を高めた。太陽光発電システムの現状の売価相場は1kW当たり50万円前後で、本システムは従来相場を大きく引き下げる製品となる。

当面は一般家庭向け「3.84kWシステム」(特別セット価格153万円/1kW当たり約39万8,400円)と、アパート向け「9.60kWシステム」(同380万円/同約39万5,800円)の2つのプランを中心に販売を展開する。国や自治体からの補助金を活用すれば、実質的には1kW当たり30 万円台半ばでの導入が可能となる。

同社では太陽光発電システムの販売に関連し、4つの長期安心アフター制度(日照補償10年、動産総合保険10年、工事保証・瑕疵10年、安心点検8年)を有料オプションとして用意している。今回、有力家電メーカーのシステムに加え、本オリジナルシステムを用意して商品ラインアップを拡充し、このアフター体制をベースに拡販を図る計画だ。2012年度に同社単独で1万2000セット、ヤマダ電機グループ全体で2万セット以上の太陽光システム販売をめざす。

S-ENERGY社は韓国サムスン電子の太陽光発電部門を母体としており、そこから2001年に分社・独立した太陽光発電システムのメーカー。韓国では同国初となるメガワット・クラスの太陽光発電所建設を手がけるなど、トップクラスの実績を有する。同社製太陽光モジュール「240PA8」は多結晶セルで、公称最大出力は240W、モジュール変換効率は15.1%。(C)環境ビジネス

これは非常に安い。ヤマダ電機が1キロワット当たり39万円台の太陽光発電システムの販売を開始した。この価格は太陽光発電のためのすべてが込みだ。次の内容だ。
・韓国S-ENERGY社製の高性能太陽光モジュール
・オムロン製のパワーコンディショナー&カラーモニター
・日本フォームサービスの架台
・標準工事費
・税

そして長期アフター保障制度もあるがさすがに有料オプションとのことだ。次の内容だ。
・日照補償10年
・動産総合保険10年
・工事保証・瑕疵10年
・安心点検8年

ついに1キロワット当たりの太陽光発電システム設置単価が30万円台に突入だ。この衝撃は大きい。日本の、優秀な能力を持つが高価な太陽光パネルメーカーは非常につらいだろう。

この太陽光パネルを製造しているS-ENERGY社は、韓国サムスン電子の太陽光発電部門が母体とのことだ。そして同社の太陽光モジュールはシリコン多結晶型で、出力0.24キロワット、モジュール変換効率は15.1%とのことだ。シリコン多結晶型なのに出力0.24キロワットということは、この太陽光パネルのサイズは通常の1m×1.5m より少し大きいのだろう。そして多結晶で変換効率約15%は、そんなもの、といった性能だろう。

韓国からやってきた太陽光発電の価格破壊は、中国、台湾のメーカーの安値攻勢が続くだろう。日本のメーカーはこのデフレ安値競争に巻き込まれずに発電量の性能で勝負してもらいたいが、屋根の面積がある程度確保できるユーザが安いメーカーに流れてしまうのは当然だ。シャープの大赤字が伝えられているが、今後の日本の太陽光パネルメーカーは苦戦が続くだろう。

2011年の太陽電池の出荷の統計

2012年02月17日

朝日新聞サイトの2月15日記事「太陽電池の出荷、初の100万キロワット超え」から。

太陽光発電協会が15日に発表した2011年の太陽電池の国内出荷量は、前年比31%増の129万キロワットで、初めて100万キロワットを超えた。全体の85%を占める住宅用は、電力不足による関心の高まりもあって同37%増。非住宅用は10年度に補助金が終了したこともあり、同3%増にとどまった。また、輸入分が中国勢の攻勢などで同2.1倍の26万キロワットと大幅に伸びた。(C)朝日新聞

太陽光発電協会が発表した、2011年の太陽電池の出荷量の話題だ。太陽光発電協会(JPEA)は、太陽電池や太陽光発電のメーカー、販売会社などの業界団体だ。会員名簿によれば、太陽電池メーカーは日本のみならず、中国など外国の会社もメンバーだ。しかし役員はすべて日本の太陽電池メーカーとなっている。その代表理事は、シャープの社長だ。

さて今回の発表の全内容は、太陽光発電協会の「平成23年度第3四半期及び平成23年暦年値太陽電池セル・モジュール出荷統計について」の5ページ以降に掲載されている。

それによれば、上記引用記事にはないが、太陽電池セルの2011年総出荷量は約276万キロワットで、前年比13%の増だ。これは総出荷の数字だが、国内向けの国内総出荷は、引用記事にもあるとおり、前年比31%増の129万キロワットで、初めて100万キロワット(つまり1ギガワット)を超えた。

なお輸出は146万キロワットで、これは前年比約1%の増なので変化はない、というべきだろう。

材料別(タイプ別)では、2011年実績は次のようになっている。

タイプ 総出荷 前年比 構成割合
シリコン単結晶 95万kW 12%増 34.5%
シリコン多結晶 115万kW 7%減 41.8%
シリコン薄膜・その他 65万kW 89%増 23.7%

このデータによると、シリコン多結晶は一番多いものの前年割れということで、以前の勢いは無い。シリコン単結晶は12%も伸びているのは、価格は高いが発電効率の良さが国土の狭い日本の都市に支持されたからだろう。また「シリコン薄膜・その他」は89%もの増加と、大変な増加だ。「シリコン薄膜」と「その他」が一緒の統計になっているが、これは是非分離してもらいたい。未来志向の「その他」タイプの太陽電池がどれだけ延びているか知りたいからだ。

それからこの文書によれば、太陽電池の輸出先は次のようになっている。(構成比は計算した。)

輸出先地域 総出荷 前年比 構成割合
米国 31万kW 1%増 21%
欧州 83万kW 15%減 57%
その他 32万kW 100%増 22%

これによれば、15%もの大幅減ではあるがヨーロッパが太陽電池セル・モジュールの重要な輸出先であることに変わりは無いようだ。そして、その他の地域が100%の増、つまり前年比の倍、には驚く。これがどの地域かは文書中には無いので不明だが、恐らくアジアが中心と予想する。

以上から、次の将来像が浮かんでくる。
・タイプとしては「シリコン薄膜・その他」系が伸びる。多結晶系は打ち止め。
・輸出先としては欧米以外の地域が伸びる。

統計は面白い。

太陽光発電の資格

2012年02月14日

環境ビジネスサイトの2月8日記事”エコリンクス、太陽光パネル設置技術者「太陽光設計士」養成研修を開始”から一部を引用する。

エコリンクスは、太陽光パネル設置技術者「太陽光設計士」を養成するための産業用太陽光発電研修を2月より開催することを発表した。太陽光設計士は、太陽光発電システムを効率よく構成するシステムインテグレーター。現在は民間資格だが、太陽光発電の普及に伴い注目度がアップしている。

同研修は、今年1月に試験的に開催され、2月より本格的に定期開催されることになった。研修場所は、同社が主体となって運営する京都・仙台エコエネルギー学院。定員は、京都が先着20名、仙台が先着16名。費用は1人6万3,000円(税込)。
...
今回の研修は、2日にわたって、高圧系統連系、架台設計、節税対策などの講義が行われ、研修修了者には「太陽光設計士 (産業用)」の資格が与えられる。

対象者は、産業用太陽光発電に関心のある方。販売経験の有無は不問。特に、太陽光発電産業用事業への参入を考えている方、すでに太陽光発電の住宅用販売を行っていてさらに拡大を考えている方、産業用に関する知識を付けたい方を対象としている。(C)環境ビジネス

「太陽光設計士」という資格に関する話題だ。この資格は公的な資格ではなく、エコリンクスという会社が認定する民間資格だ。

この資格については、エコリンクスのサイトの太陽光設計士にその概念が書かれている。太陽光発電システムは様々な機器から構成され、またそれを載せる屋根の形状も千差万別なので、その「システムインテグレーター」たる知識のある人物が太陽光設計士、という位置付けだ。それはそのとおりで、簡単に言えば、太陽光発電システムは電気屋と屋根屋の両方の知識が無ければならない。

さてこの太陽光設計士という資格は、上記引用記事からは判明しないが、募集要項によれば、住宅用の3級太陽光設計士と、上記引用記事で言及されている産業用の2級太陽光設計士に分かれる。

一般的な住宅用については太陽光設計士3級(住宅用)に詳しい。「基礎・設計編」(3日間)と「施工技術編」(2日間)の計5日の研修に参加し、各ステップでのテストに合格すると、同資格が与えられる。その研修受講料は、262,500円と、結構高い。まあ、知識の無い一般人も対象とするので研修期間は長くなり、その分、料金が高くなるのだろうか。

一方、今日話題の、太陽光設計士2級(産業用)によれば、研修期間は2日のみで、料金も63,000円と、前記住宅用に比べれば格段に安い。この産業用の方がかなり安い理由は、産業用の太陽光発電システムの知識のある人材がいま大量に求められている、ということくらいしか思い浮かばない。今年7月からの全量買取制度の発足で多くの会社がビジネスとして太陽光発電に参入するからだ。ただ、将来性がありかつニッチな産業用という分野の資格は、そのための研修費用は高くなるのが一般的だがそうではない。これは、かなりの「促成栽培」、つまり短期間で大量の人材を輩出する必要がある、ということだろうか。

民間資格というものは資格取得研修がその会社のビジネスになってしまう弊害がある。太陽光発電のように今後ますます幅広い知識が必要になる分野の資格は、住宅用にしても産業用にしても、やはり国家資格が望ましい。

太陽光発電所の生産施設面積率上限

2012年02月10日

環境ビジネスサイトの2月1日記事「経産省、太陽光発電施設の生産施設面積率の上限を75%に緩和」から一部を引用する。

経済産業省は、31日、工場立地に関する準則(告示)の一部を改正、公布・施行し、太陽光発電施設の生産施設面積率の上限を緩和する措置を講じた。本改正は、一定規模以上の太陽光発電施設を設置する際に適用される工場立地法の規制のうち、敷地に対して設置が可能である生産施設の面積の割合の上限を50%から75%へ引き上げるもの。これにより、太陽光発電施設の生産施設面積を現行の1.5倍に拡大することが可能となった。

本改正では、「電気供給業」を、太陽光を原動力とするものか否かに分類し、太陽光を原動力とする、いわゆる「太陽光発電施設」については、生産施設面積率を現行の50%から75%に拡大した。太陽光を変換して得られる電気を供給するものを除く電気供給業の生産施設面積率は、従来通りの50%。
...(C)環境ビジネス

「電気供給業」、わかりやすく発電所を建てるには、「生産施設面積率」または設備の敷地に占める面積は最大50%という制限があった。この制限があると、太陽光発電所はその敷地面積の50%までしか太陽光パネル等を設置できない。設置面積が必要で騒音等の公害は発生しない太陽光発電所にとって、この工場立地法の制限は問題があった。

そこでその工場立地法の準則(告示)が改正された。発電所のうち、太陽光発電所はその面積率を50%から75%に上げる。太陽光発電所ではない発電所はいままどおり50%、ということだ。この概念図がわかりやすい。

この改正で、メガソーラーの建設がさらに進むと予想される。

屋根を貸して太陽光発電

2012年02月08日

東京新聞の2月8日記事「民家の屋根借り 太陽光発電事業 電力買い取り新制度」から一部を引用する。

枝野幸男経済産業相は七日の参院予算委員会で、発電会社が一般民家の屋根を借りて太陽光パネルを設置し、発電事業をできるようにする制度を検討していることを明らかにした。今夏にも始めたい考えだ。再生エネルギー特別措置法に基づき、電力会社が再生エネを固定価格で全量買い取る制度が七月に始まるのに合わせた取り組み。

経産省によると、新制度では、家庭が発電会社への屋根の貸し出しを希望すれば、発電会社の負担で太陽光パネルを設置。発電会社は集めた電力を電力会社に販売し、利益の中から各家庭に屋根の賃料を払う仕組みで、枝野氏は答弁で「こういう形で進められないか研究している」と述べた。
...
新制度なら、パネル設置時の家庭の負担は原則ゼロ。発電会社と各家庭の契約になることから、政府にとっても、設備投資などに税金を投入せずに太陽光発電の普及を期待できる。経産省は「家庭が飲料の自動販売機の設置場所を提供し、メーカーから賃料を受け取るようなイメージ」と説明する。

ただ、発電会社と家庭の権利関係がこじれる可能性もある。政府は問題が起きないよう論点を整理し、再生エネ特措法の政省令や規則でルールを定める方針だ。(C)東京新聞

今年7月の再生エネルギー特別措置法の施行で民間会社の太陽光発電ビジネスへの参入が進むことが見込まれる。ただその太陽光発電会社にとって、太陽光パネルの設置場所の確保には苦労するはずだ。特に都市部では土地代は高いので、土地を借りたとしてもその賃料は安くなく、経費を圧迫するはずだ。

そこで考え出された方法が、民家の屋根を太陽光発電会社に貸す、という方法だ。次の概要となる。

  1. 発電会社は屋根を貸し出す家庭の屋根に太陽光パネルを設置。その費用はすべて発電会社側の負担となる。
  2. 売電益の一部から屋根の賃料が家庭側に支払われる。

この方法なら次のメリットがある。家庭側は出費無しで太陽光発電に貢献でき、かつ賃料も入る。また発電会社にとっても、大都市で安い賃料で太陽光パネルを設置できる。そして何よりも、国にとって税金を一銭も使わずに太陽光発電を促進できる。

経産省によれば、この方法のイメージは、「家庭が飲料の自動販売機の設置場所を提供し、メーカーから賃料を受け取る」に近いイメージだそうで、この例えは的を得ていよう。

この仕組みに対応するための法整備の検討を始めた、という段階のようだ。政府側は、再生エネルギー特別措置法の政省令や規則でルールを定める方針、とのことだ。

この方法に類似のやり方で太陽光発電を促進できないか、さらに国・自治体は検討する必要があるだろう。

 
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