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再生エネルギー普及のための規制・制度改革

2012年04月03日

毎日新聞サイトの3月30日記事「再生エネルギー:普及へ規制・制度改革100項目」から一部を引用する。

政府は29日、再生エネルギーの普及などに向けた約100項目の規制・制度改革メニューを決定、公表した。規制緩和で再生エネの立地を促し、原発のかわりの電力を確保、今夏以降の電力不足対策に役立てる。政府の「エネルギー・環境会議」と「行政刷新会議」が関係省庁と調整して策定した。即効性を重視し、政省令の改正や運用変更で対応できる対策が多く、一部は既に実施している。

太陽光発電については、大規模発電所(メガソーラー)の普及に向け、敷地の緑地規制を撤廃する。現在は工場扱いのため、工場立地法に基づいて敷地の25%を緑地とする必要がある。また、工場の屋根などに太陽光パネルを設置する際の建築確認手続きも撤廃し、屋根を発電事業者に貸す「屋根貸しビジネス」を後押しする。

地熱発電も、適地が多い国立・国定公園内での設置基準を緩和。公園内でも一部で垂直に掘ることを認め、世界有数の地熱エネルギーを有効活用する。

風力発電施設は、高層ビル並みに厳しい構造審査を簡素化する。小水力発電所建設時の許可手続きも簡素化。農業用水を使った発電は許可制から届け出制に切り替え、エネルギーの「地産・地消」化を進める。再生エネを電力各社の送電網に接続する手続きも簡素化。ビルなどで非常用発電機代わりにリチウムイオン電池を設置できるようにし、電池市場の拡大につなげる。(C)毎日新聞

政府は3月29日、再生エネルギーの普及のため、規制・制度改革を発表した。その項目は103項目ある。

このブログのメインテーマである太陽光発電関連では、次の項目だ。
(1)敷地の緑地規制の撤廃。今までは工場立地法により25%の緑地が必要だった。

(2)工場の屋根などに太陽光パネルを設置する際の建築確認手続きを撤廃。屋根を太陽光発電業者に貸すビジネスの促進。

太陽光発電以外では次のとおりだ。
(A)地熱発電では国立・国定公園内での垂直掘も可となった。

(B)風力発電は厳しい構造審査を簡素化。

(C)小水力発電所の許可手続きを簡素化。また農業用水を使った発電は許可制から届出制に変更。

(D)再生エネルギーの送電網接続の手続きを簡素化。

(E)ビルなどの非常発電機の代わりにリチウムイオン電池の設置を可。

この規制緩和の大元となる情報は、「規制・制度改革に関する分科会報告書(エネルギー)」(平成24年3月26日)にある。これは内閣府のホームページ中にある。この中で、全103項目が一覧になっている。

上記以外で目に付いた項目は次のとおりだ。(なお番号は同一覧中の項番である。)

(2)市街化調整区域における太陽光発電設備の付属施設の取扱いの明確化
太陽光発電設備(建築基準法上の建築物でないもの)の付属施設について、その用途、規模、配置や発電施設との不可分性等から主として当該付属施設の建築を目的とした開発行為に当たらないと開発許可権者が判断した際には、許可が不要であることを周知する。

(27)再生可能エネルギーが導入可能な耕作放棄地の区域情報の公開
耕作放棄地等への再生可能エネルギーの導入可能性について調査を実施し、農山漁村における再生可能エネルギーの発電適地マップを公表する。

(37)固定価格買取制度における買取条件の予見可能性の確保
「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」に基づく調達価格については、法律上毎年度定めることとなっているが、調達価格等算定委員会の意見も踏まえつつ、事業者が次年度以降の価格について予想を立てやすくなるような方法について検討し結論を得る。

(83)コンテナに収納される蓄電池の取扱いの明確化
太陽光発電以外の用途でも使用される蓄電池及び制御装置設備等を収納するコンテナのうち、人が内部に通常入らないなどの一定の要件を満たすものについて、建築物に該当せず、建築確認が不要である範囲を明確化した上で、その旨を技術的助言により周知する。

この中で興味深いのは(37)項だ。この7月から実施される全量買い取り制度の買い取り価格は現在、未決定だ。それでは太陽光発電事業者の事業見通しが不透明になり、なかなか事業を開始できない。それに対応する項目だろう。次年度以降の価格がわかれば、早急な事業開始が可能となり、そのメリットは大きいと思う。

メガソーラー対象の保険

2012年01月09日

朝日新聞サイトの1月5日記事「メガソーラー保険、損保各社が提案 日照不足を補償」から一部を引用する。

メガソーラーが日照不足で十分に発電できないときに備えた「保険」を、損害保険会社が売り込みはじめた。原子力に比べると安全で、温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーへの期待は高まるが、天候などに左右されやすい弱点もあるため、新たなビジネスとして着目した。

損保ジャパンは、メガソーラーの建設を計画している企業や自治体、太陽光パネルのメーカーに対して昨年秋ごろから新たな商品を提案し始めた。毎年補償料をもらう代わりに、年間の日照時間の基準値を決めておく。台風や長雨で年間の日照時間が基準を下回ったら、保険会社が補償する。

太陽光発電は、発電量が日照時間に左右される。このサービスで発電量によって得られる収入のばらつきをある程度は解消できる。このため、建設する自治体や企業が投資家から資金を集めやすくなる。

メガソーラーは、発電した電気をすべて固定価格で買い取る「再生可能エネルギー特別措置法」が昨年8月に成立したのを機に、自治体や企業が相次いで構想を打ち出している。大手では三井住友海上火災保険も同様のサービスの提案をしており、東京海上日動火災保険も検討しているという。(C)朝日新聞

保険会社は様々な商売のネタを考えるものだと感心する。保険会社各社は、メガソーラーが設定した発電量より発電量が少なかったときの保険を発売し始めた。

太陽光発電の発電量は日照時間に左右される。また太陽光パネルの上に雪が積もったら、晴天であっても発電できない。メガソーラーといえどもその制約から逃れることはできないが、この保険があれば、日照が極端に少なくても損害額は少なくて済む。

今後メガソーラーの分野への様々な企業の参入が予想される。それは、昨年8月に成立した、「再生可能エネルギー特別措置法」の成果だ。その法律によれば、再生可能エネルギーで発電した全量を電力会社は固定価格で買い取らなければならない。もちろんこの法律は、太陽光発電を初めとする再生可能エネルギーの促進を目指したものだ。この法律の成立で、太陽光発電などが今までよりもビジネスの対象になった。しかし出力が不安定なためそのリスクの軽減として、この保険は役立つだろう。

この保険金の支払を決める発電量の基準値の決定は難しいだろう。その場所の日照時間や太陽強度、太陽光パネルの種類など、その値の決定のためのファクターは多いはずだ。数値の算出はコンピュータープログラムだが、ロジックを決めるのは人間だ。もちろん保険会社にはそのようなロジックを決めるプロが何人もいるはずだ。そういえば私の後輩の数学科出身者も、保険会社に勤務している。

レーザー光を地球に送る宇宙太陽光発電

2011年08月03日

読売新聞サイトの7月24日記事「夢の宇宙太陽光発電、福井大などが装置研究」から一部を引用する。

天候や時間帯に左右されない太陽光発電の実用化に向け、福井大大学院の金辺忠准教授(工学研究科)が、宇宙空間で太陽光を効率的にレーザー光に変え、地上に送る装置の研究を宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で進めている。

装置が完成すれば、地上で受け取った光で発電し、原発1基分にあたる約100万キロ・ワットをまかなえるという。

反射鏡形の装置(縦約200メートル、横約2キロ)を約3万8000キロ上空に飛ばす。金辺准教授は太陽光を吸収・透過しやすい素材を開発。この素材を装置に組み込み、分散している太陽光を“整列”させてレーザー光に変換する。レーザー光は真っすぐな光のため、太陽光よりも強い光を地上に届けられるという。

地上での太陽光発電は、光の差さない夜間に発電できず、雨や曇りだと発電効率が落ちる欠点がある。人工衛星などに太陽電池パネルを搭載し、宇宙空間での発電も行われているが、効率的に光を地上に送る技術が確立されていなかった。

JAXAは2025~30年をめどに試験装置を設置する予定。...(C)読売新聞

壮大な宇宙太陽光発電の話題だ。天候に左右されない宇宙での太陽光発電は魅力的だが、その電力をどのように地球に送るのか、が最大の問題だった。今までに一般的な解としては、波長の短い電波でピンポイントに地球に送る、だった。ただこの方法では、電波では波長を短くしてもある程度拡散すること、またそのピンポイント先が事故などでズレた場合の被害をどうするか、の問題があった。天から強力な電子レンジの電波ビームが自分に突き刺さる、と考えるとわかりやすい。

今回話題の方法は、地球への電力の送信に光を使用する。レーザー光だ。レーザー光なら拡散は非常に少なく、また波長が揃っているため強力な光となる。つまり効率良く送信できるということだ。

宇宙上では次の動作となる。通常の太陽光発電とは全く異なる原理だ。宇宙上には200メートル×2キロメートルという、非常に細長く巨大な鏡を置く。その鏡で太陽光を集光し、新開発の素材で波長を揃えてレーザー光に変換する。それを地上に送信する、というやりかただ。

地上ではその光を受け取り、太陽電池で電気に変える。この規模で、なんと原発一基分の100万キロワット、つまり1ギガワットもの発電が可能となる。

大変な技術だ。ただ、一抹の、いやそれ以上の不安もある。電波ではなくレーザー光としても、万が一の事故で超強力なレーザー光が降って来る事態が考えられるからだ。そして、これを兵器として他国に向けることも不可能ではない。夢の技術が実現できることは素晴らしいが、実用化は少々怖い。今回の原発事故で、人類は科学技術を弄ぶとそれから復讐されることを学んだはずだからだ。

太陽熱により水素を得る

2011年07月07日

読売新聞サイトの6月17日記事「宮崎県、太陽光による水素製造を研究」から一部を引用する。

東京電力福島第一原子力発電所の事故などを受け、自然エネルギーへの注目が集まる中、宮崎県は全国3位の日照時間を生かし、太陽光による「新エネルギーの拠点づくり事業」に乗り出す。

宇宙機器メーカー「三鷹光器」(東京都)や新潟大と連携し、効率的に太陽光を集める「ビームダウン式集光装置」を宮崎大に設置。太陽光発電のほか、太陽光による水素製造の研究に、全国の自治体で初めて取り組む。事業予算は5000万円。

ビームダウン式集光装置は、世界有数の集光技術を誇る三鷹光器が製作。太陽の動きを追尾する反射鏡(ヘリオスタット)が、地上約10メートルの高さにある楕円(だえん)鏡に光を集めて再反射させ、真下にある太陽光濃縮装置を通すことで、効率性の高い集光が可能になる。

水素製造では、新潟大が研究を進める技術を活用する。水を分解し、水素を発生させるには通常約3000度の高温が必要だが、同大の開発した触媒を使用することで1500度まで下げることができる。県は、ビームダウン式集光装置との併用で、太陽光による水素製造技術の開発を目指す。

水素を安定して供給できるようになれば、水素自動車や燃料電池などへの利用が可能になる。県は2020年頃までの実用化を見込んでおり、民間への技術移転や企業誘致も促進するという。

過去30年の県内の平均日照時間は年間2116時間で全国3位。...(C)読売新聞

これは極めてユニークな研究だ。太陽熱から水素を得よう、というのだから。

太陽熱により高温を得るところまでは太陽熱発電システムと同じだ。地上には太陽を追尾する鏡があり、塔(この場合は10メートル)の上に集光する。塔の上には真下に光を反射する鏡がある。これで塔の真下は高温が得られる。

その高温で水素ガスを得よう、という訳だ。水素は水の電気分解でも得られるが、水蒸気を高温下に晒せば水素が得られる。この方法では3000度という高温が必要だが、新たに開発された触媒により1500度の温度で水素が得られる。3000度と1500度では大違いだ。

これはすばらしいプロジェクトだ。太陽熱で水を分解して水素が得られるのだから、温暖化ガスの発生は有り得ない。

ところでなぜ水素なのか?それは、環境に負担をかけない究極の電気エネルギー発生装置は燃料電池であり、それは水素により電気エネルギーを発生するのだ。燃料電池の原理は水の電気分解の逆で、水素と空気中の酸素により水を生成するときに発生する電気エネルギーを取り出すのだ。この燃料電池の動作時に発生する物質は水のみである。

この燃料電池の普及のためには安価な水素がどうしても必要であり、今日の話題のシステムは非常に期待できる。

脱原発でも太陽光でGDP問題無し

2011年07月05日

毎日新聞サイトの7月3日記事「脱原発:50年の経済影響なし 東京大准教授試算」から一部を引用する。

2050年に「脱原発」を実現した場合の国内の経済影響はほとんどないとの試算を、茂木源人(げんと)・東京大准教授(社会戦略工学)がまとめた。太陽光パネルをすべて国内で生産し、未利用の土地を活用することなどの条件が前提で、実現には政府の姿勢が鍵になりそうだ。

試算は電力会社の依頼を受け実施した。

現在、日本の電源は原発約3割、火力約6割、太陽光を含むその他が約1割。試算では、太陽光パネルの寿命は20年で、発電量は年率1%で劣化するとした。50年までの電力需要を考慮し、(1)原発を段階的に廃止し、その分を太陽光が代替する(2)原発はそのままで、太陽光が普及していく分、火力を減らす(3)原発はそのままで、太陽光は住宅への普及限度の1000万戸まで増え、その分の火力が減る--の3ケースで分析した。

その結果、50年の国内総生産(GDP)は、(1)536兆円(2)533兆7000億円(3)536兆1000億円で、ほぼ同レベルになった。

この理由を、(1)と(2)で太陽光パネル製造や設置費など40年間で162兆8000億円が投入され、製造工場などで雇用が生まれるためと説明している。

東日本大震災前の原発の平均発電量を得るには、1万平方キロの設置面積が必要だが、現存の耕作放棄地などを活用すれば可能という。

一方、電力料金については、20年代半ばに1キロワット時あたり0・6円上がるが、大量生産が実現する30年に元に戻ると分析した。

茂木准教授は「当初の太陽光発電のコストは他電源より高いが、国内ですべて生産すれば経済の足を引っ張ることはない」と話す。(C)毎日新聞

「脱原発」を実施しても国内の経済活動に影響はほとんど無い、という試算結果が出た。この試算を行ったのは、東京大学の茂木源人准教授(社会戦略工学)。最近は社会戦略工学なんていう分野があるのですね。

試算の前提は次のとおりだ。
(A)現在、日本の電源は原発約3割、火力約6割、太陽光を含むその他が約1割。
(B)太陽光パネルの寿命は20年で、発電量は年率1%で劣化する。
(C)太陽光パネルはすべて国内で生産。
(D)太陽光発電の設置場所として未利用の土地を活用する。

次の3つのケース毎に試算した。
(1)原発を段階的に廃止し、その分を太陽光が代替する。
(2)原発はそのままで、太陽光が普及していく分、火力を減らす。
(3)原発はそのままで、太陽光は住宅への普及限度の1000万戸まで増え、その分の火力が減る。

上記の条件で2050年の国内総生産(GDP)を計算したケース毎の結果は次のとおりだ。
(1)536兆円
(2)533兆7000億円
(3)536兆1000億

ということで、どれも同じ数字となる。恐らく、どのような条件を付加すれば同一金額になるのか、という視点で検討したとは思うが、「脱原発」を実施しても経済活動に問題は全く無い、という画期的な研究結果だ。

この結果で困るのは、「原子力ムラ」の住人のみだろう。この試算は電力会社からの依頼によるとあるが、茂木准教授は電力会社からの仕事は以後、来ないだろう。恐らく「原子力ムラ」からの圧力があったと思うが負けずに公表した茂木准教授に拍手。

さあ、「脱原発」を実現するため、次は政治の出番だ。でもその前に首相を変えなければ。

太陽電池の電力のみで飛ぶ飛行機

2011年07月01日

CNN日本語サイトの6月24日記事「ソーラー飛行機で世界一周飛行を目指す男たち」から一部を引用する。

普通の飛行機なら、雨が降って滑走路に水たまりができたくらいで飛べなくなることはない。だが「ソーラー・インパルス」は話が別だ。
...
この飛行機を発案したのは、1999年に史上初の熱気球による無着陸世界一周飛行をなし遂げたベルトラン・ピカールら2人のパイロットだ。翼長は旅客機のA340並みの63.4メートルで、重量はスポーツカー並みの1600キログラム。スクーター程度のパワーしか出ないが、肝心なのは動力源は何かということだ。

ソーラー・インパルスはその名の通り、大きな翼の上にびっしり並べられた1万1000個を超える太陽電池を動力源としている。燃料は一切使わない。

昨年7月に行われた最初の本格的なテスト飛行では、26時間連続飛行を達成。14年には世界一周ノンストップ飛行を目指しているという。(C)CNN

太陽電池の電力のみ使用する飛行機の話題だ。この飛行機の外観はのとおり。この画像からは太陽電池が貼ってあるようには見えないが、巨大な63.4メートルの翼の上に1万1000個以上の太陽電池がはってある飛行機だ。この翼の長さは、なんとA340旅客機並みというから、大変な大きさだ。

翼はそれだけ大きいのに重量は1600キログラム。大きめの乗用車程度だ。出力は、記事によれば「スクーター程度のパワー」というから、飛行機としては非常にちいさなパワーとなる。

この飛行機で、昨年7月に26時間連続飛行を達成したとのこと。夜間・悪天候飛行用のバッテリーも搭載しなければならないため、難しい設計と思うが26時間連続飛行ということは設計はうまく行っている、ということだろう。この飛行機、2014年に世界一周ノンストップ飛行を目指しているそうだが、是非成功してもらいたい。

 
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