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ガスヒートポンプと太陽光発電の組み合わせ

2011年05月18日

朝日新聞サイトの日刊工業新聞5月9日記事「三洋電、空調・発電システム-安定的に電力供給」から。

三洋電機は太陽光発電と発電機能付きガスヒートポンプ(GHP)エアコンを連携した空調・発電システム「ソーラーリンクエクセル」を完成した。日射量の影響を受ける太陽光発電の出力変動をGHPの発電量を調整することで補い、安定した電力供給を可能にした。大阪ガス、東邦ガスと共同開発したもので、価格は20馬力のGHPと4キロワットの太陽電池の組み合わせで600万―750万円。ガス会社ルートなどで学校や商業施設、工場への納入を目指す。

大規模施設などで商用電力の受電量を抑制するニーズに応える。16―20馬力のGHPと2キロ―4キロワット級太陽電池の組み合わせで4キロワットの電力を常時供給。施設が必要とする電力や空調規模に応じて複数セット設置する。

発電機能付きGHPは空調向けに使うガスエンジンの余力で発電している。発電量の確保を優先した運転制御も可能。出力変動の幅が大きい太陽光発電の出力推移を、GHPが監視しながら自らの運転を制御することで空調機能と安定した電力供給を維持できる。

GHP室外機のインバーターを太陽電池も共用する。パワーコンディショナーが不要なほか、系統連係を一本化でき手続きも簡素化が可能。三洋電機の加西事業所(兵庫県加西市)で2010年から実証試験を進めてきた。

三洋はGHPのシェア首位。国内市場は10年度に約1万6000台規模で、近年は年1―2割の減少傾向だった。しかし最近の電力供給不安を背景にしてエネルギー効率が40%以上と高いガス式空調は再び注目が集まる。12年にも、さらに高効率なGHPに対応した商品の投入を予定する。(C)日刊工業新聞

三洋電機はパナソニックに吸収合併されたが、製品名から三洋電機のメーカー名が消え始めている。家電ではゴパンなどの極めてユニークな製品以外はパナソニックブランドになる。ただ、三洋電機のHIT太陽電池はブランド名は残るだろう。変換効率が極めて高い優秀な製品でブランド力があるからだ。

さて三洋電機にはガスヒートポンプ(GHP)というジャンルの製品がある。この分野では日本のシェアトップであることは上記の記事で初めて知った。ガスヒートポンプは、電気の代わりにガスを燃焼させてヒートポンプを動かす仕組みと思えばよい。つまり、ガスを燃やして冷暖房を動かす。そしてガスヒートポンプには発電機能のある製品もある。これは、冷暖房の余力で発電するものだ。

今日の引用記事中の製品は、この発電機能付きのガスヒートポンプと太陽光発電を組み合わせて一定の出力を得るようにしたものだ。三洋電機サイトのソーラーリンクエクセルページの絵がわかりやすい。

太陽光発電は、日照により発電量が増減する。太陽光発電に発電機能付きのガスヒートポンプを組み合わせ、太陽光発電の発電量をモニターしてガスヒートポンプの発電量を増減することで、両方合わせた発電量は一定の量を確保することができるのだ。

ただ価格は高い。4キロワットの出力の太陽光発電と、それに見合うガスヒートポンプ装置を組み合わせると、600万~750万円になる。これは当然ビジネス・工業用だ。

高価ではあるが、震災時の停電対応、またこの夏の停電・節電に備えるため、脚光を浴びている製品のようだ。

三洋電機はパナソニックの社風に染まってしまったらこのようなユニークな製品の開発はできなくなるだろう。三洋電機は技術者魂でがんばってもらいたい。

太陽光発電とガスコージェネレーションとの連携

2010年05月17日

朝日新聞サイトの5月16日記事「太陽光発電、安定供給へ実証事業 東京・大阪ガス」から一部を引用する。

東京ガスと大阪ガスは、太陽光発電と天然ガスコージェネレーション(熱電併給)を組み合わせた実証事業を始めると発表した。太陽光発電は天気が良いとたくさん電力を送ってしまうため、送電網の電力量が増えすぎて周波数などに悪影響を与える恐れがある。コージェネを使って発電量を調節するという。

太陽光発電が送りすぎた電力は、送電網に蓄電池をつないで吸収する方法が検討されているが、蓄電池の値段は高い。実証事業では蓄電池の代わりに、天然ガスで発電した際の熱でお湯や蒸気もつくるコージェネを使う。太陽光発電の量が多い時は、コージェネの発電を抑えて電力量を調節する。コージェネは工場や家庭に普及しており、蓄電池より安いという。

実証事業は東京と関西で進める。東京では東京ガスの研究施設内にあるコージェネと太陽光発電などで作った電力と熱を2棟のオフィスビルや近くの福祉施設に送る。関西では、2府4県の工場やオフィスビルなどにある6カ所のコージェネ、4カ所の太陽光発電の量を調節する。

今年度中に必要な設備を整え、2年間かけてデータを集める。国が10年度予算で6億円を計上している。(C)朝日新聞

ガスによるエネルギーは太陽光エネルギーに比べて分が悪い。ガスはどうしても化石燃料を燃やして二酸化炭素を排出するイメージが強いからだ。そのためガス会社は生き残りを賭けて新技術を開発している。例えばガスを燃焼させないで電力を得る燃料電池などだ。今日の話題は残念ながら燃料電池ではないが、新技術のひとつだ。

東京ガスと大阪ガスが共同実験を始める。それは、太陽光発電と天然ガスコージェネレーションを組み合わせ、不安定な太陽光発電の出力を一定化するものだ。ガスコージェネレーションは、ガスにより電力を発生させ、その際の廃熱を冷暖房・給湯などに有効利用するものだ。ガスによる電力生成には、燃焼によるガスタービンや先ほど触れた燃料電池がある。このガスコージェネレーションは家庭向きではなく、工場・地域での導入が一般的だ。

さて太陽光発電の欠点は、日照により出力が一定ではないことだ。その欠点に対応する一般的な方法は、蓄電池に電力を溜める方法だ。しかし蓄電池は高価のうえ時間と共に能力が低下するのである期間ごとの交換が必要だ。そこで太陽光発電とガスコージェネレーションを連携し、ガスコージェネレーション側の出力を太陽光発電の出力に合わせて調整することで全体としての出力を一定化する技術が開発された。今回はその実証実験を2つのガス会社が行う、というものだ。

実はこの太陽光発電とガスコージェネレーションを組み合わせる話題は、このブログの昨年9月22日記事「ガスコージェネレーションシステムによる電力安定供給」で書いている。この技術は大阪ガスが開発したものだった。この新技術の中核は前回記事によれば、送電網の周波数の変動を測ってガスコージェネレーションシステムの出力を調整するソフトウェアだ。

それにしても少々興味深く感じたのは、前回の引用記事が太陽光発電出力が不足したときにコージェネの出力をアップする記述に対し、今回の引用記事は太陽光発電出力が増えたときにコージェネの出力を下げる、という逆のことを強調している点だ。どちらも今回の新技術で対応できるのだが、新聞記者により見方の違う点が面白い。

東京ガスのスマートエネルギーネットワーク

2010年01月15日

少し古いが昨年末12月3日付のSankeiBizサイト記事「東京ガス 自然エネ×コージェネ活用 芝浦再開発で導入 実用化加速」から一部を引用する。

東京ガスは、太陽光発電やバイオマスなどの分散型の新エネルギーと天然ガスのコージェネレーション(熱電併給)システムを組み合わせ、省エネと二酸化炭素(CO2)排出量を大幅に減らす「スマートエネルギーネットワーク」を実用化する。第一弾として2016年度の竣工を目指すJR田町駅東口開発(芝浦再開発)に導入し、ガス、電力、熱の最適なエネルギーを供給する。
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芝浦再開発は、三井不動産、三菱地所との共同開発を予定している。オフィスビル、店舗などで構成される複合施設で、敷地面積は約2万8000平方メートルの規模がある。

複数のビルの地域冷暖房プラントを連結して、最新の高効率機器を導入した単体のビルに比べて10%超の省エネと、25%のCO2排出削減を目指す。

熱供給能力は2万4000~2万8000キロワットで、コジェネシステム(4000~5000キロワット)、燃料電池(100~300キロワット)などを導入し、太陽光や太陽熱エネルギーなどの再生可能エネルギーも利用する。

東京ガスは同横浜研究所(横浜市鶴見区)で、2006年から「スマートエネルギーネットワーク」の実証試験をスタートしている。今後は、国の補助金を活用したフィールド実証試験や、既存のオフィスビルや商業施設を含めた再開発地区にも応用する考えだ。

東京都の築地市場が移転する予定の豊洲地区(江東区)の東京ガス所有地の再開発でも、低炭素社会を実現する「スマートエネルギーネットワーク」による街づくりを検討する。

豊洲再開発は、二酸化炭素を排出しない水素エネルギーの活用も検討し、エネルギープラントの投資額は100億円を超える規模になる見通しだ。
...(C)SankeiBiz

東京ガスの「スマートエネルギーネットワーク」が今日の話題だ。「スマートエネルギーネットワーク」の概要については東京ガスのスマートエネル ギーネットワークの構築がわかりやすい。

新エネルギーを補完するシステムづくり

環境性に優れているものの不安定なのが分散型の新エネルギーの弱点。それを電力・都市ガスといった大規模ネットワークが補完しながら、エネルギー供給構造の転換を進めていくのがスマートエネルギーネットワークの考え方で、欧州を中心に研究が進んでいます。

新エネルギーを最大限に取り込みながら、電力のネットワークだけでなく、熱のネットワークも含めた最適制御のためのITインフラも構築し、分散型発電と、大規模発電の調和を図っていきます。(C)東京ガス

要点は2つ。ひとつは、不安定供給の自然エネルギーを他のエネルギーで補完する仕組みであること。もうひとつは、電力だけでなく熱のネットワークも含めたシステムであることだ。この特徴は、電力網をITを利用して制御するスマートグリッドとは異なる。共通点はITを利用した制御システムであることだが。

上記の東京ガスのホームページ下に概念図はあるが、他のページのスマートエネルギーネットワーク拡大図はさらに詳細だ。太陽光発電や風力発電の不安定さを補うものは燃料電池だ。その燃料電池のための水素ガスの供給のための水素ステーションと水素供給ネットワークがこのシステムにおいては重要な意味を持つ。この拡大図を見ると、多様なエネルギーが対象のエネルギーネットワークであることがわかる。電力オンリーのスマートグリッドとは大違いだ。このようなエネルギーネットワークがヨーロッパにおいて研究が進んでいることは理解できる。

さて、東京ガスはこの「スマートエネルギーネットワーク」の実証実験を2006年から江東区豊洲地区の社有地で行っている。このためのエネルギープラントの投資額は100億円に達する、とのこと。

また「スマートエネルギーネットワーク」実用化の第一弾として、2016年竣工予定のJR田町駅東口開発(芝浦再開発)に導入する。

東京ガスは単なるガス会社から総合エネルギー企業への脱皮を図っているようだ。

東邦ガスの太陽光発電+高効率ガス給湯器システム

2009年09月24日

9月19日付の読売新聞サイト記事ガス排熱再利用と太陽光発電をセット東邦ガス 24日発売から。名古屋の東邦ガスの話題だ。

東邦ガスは18日、太陽光発電と高効率のガス給湯器を組み合わせた戸建て住宅向けシステムを24日から発売すると発表した。屋根に設置した太陽光パネルで発電した電力は、家電製品に使う。給湯器から出る排熱を再利用し、効率的にお湯をわかすこともできる。

標準的な4人家族の場合、このシステムを導入すると、電気・ガス料金を年間で計約11万7000円節約できる。二酸化炭素(CO2)排出量は40%削減できる。価格は約240万円。国と名古屋市の補助を受けた場合の購入者負担は200万円程度だ。 (C)読売新聞

不親切極まりない記事で、どのようなシステムか全体像がまったく見えてこない。そこで、東邦ガスのサイトを調べた。

「太陽光+ガスの暮らし」太陽光発電システムがそのトップページだ。このシステムは3種類あるようだ。
(1)太陽光発電+家庭用燃料電池
これは最先端技術の燃料電池を使うシステムなのでかなり高価であることが予想される。

(2)太陽光発電+ガス発電・給湯暖冷房システム
この「ガス発電・給湯暖冷房システム」とは、「クリーンな天然ガスで発電し、その時に出る排熱でお湯も沸かせて暖房もできるガス・コージェネレーションシステム」のことだ。これも(1)ほどではないが高価だろう。

(3)太陽光発電+高効率ガス給湯器
この高効率ガス給湯器は、「今まで利用せずに屋外に排出していた潜熱(お湯を温める時に出る熱)を再利用し、あらかじめ水を温めます。予熱された水を従来タイプに比べて少ないガス消費量でバーナーにより加熱する、省エネ設計の給湯器」のシステムだ。上記の読売新聞記事で述べているのは、このタイプだろう。このタイプは3種の中では一番安いようだが、記事によると、標準家庭で価格は約240万円。国と名古屋市の補助を受けた場合の購入者負担は200万円程度、とのことだ。これには設置料は入っていないだろうから、一番下のランクといえども高価だ。

なおかつ、この「高効率ガス給湯器」には欠点がある。それは、廃熱の再利用システムなので連続運転しないと再利用効率が下がりメリットがなくなるからだ。シャワー中心の家庭はメリットがあるが、お湯を少量使っては止め、の使用法がメインの家庭ではメリットがそれほど無い。

正直なところ、ガス会社も生き残りを賭けて大変だな、が感想だ。しかし天然ガスの燃料電池の時代になれば、ガス会社の独壇場だ。あと10~20年後にはそうなっているだろうか。

ガスコージェネレーションシステムによる電力安定供給

2009年09月22日

9月16日付け読売新聞サイト記事太陽光発電安定供給サポート:大阪ガス新技術開発、企業向けに売り込みから一部を引用する。

大阪ガスは15日、既存のガスコージェネレーション(熱電併給)システムを使い、雨天時などに出力が大幅に低下し、電力供給に悪影響を与える太陽光発電の弱点を補う新技術を開発したことを明らかにした。安定した電力供給に役立ち、環境にもやさしい仕組みで、2011年度にも企業向けに売り込みを始める。

新技術は、送電網の周波数の変動を測って、コージェネの発電量を自動的に調節する仕組みだ。例えば、太陽光による発電量が減った場合、コージェネの発電量を増やして送電網に送り込む。数万円のソフトウエアを追加するだけで導入できるという。

太陽光発電は、二酸化炭素(CO2)排出量削減の有効な手段として期待されており、電力各社は大規模な太陽光発電所の建設を計画している。だが、出力や周波数が天候に大幅に左右され、電力供給網をかきみだす問題点が指摘されている。電圧などの変動につながれば、精密機械などに悪影響を与える恐れがある。電力会社では、安定供給を重視し、太陽光でつくった電気を電池に一時的に蓄える方法を検討している。(C)読売新聞

都市ガスは燃焼すると地球温暖化ガスを発生するため、太陽光発電と比較されると分が悪い。しかしガス会社はその欠点を補う様々な製品を開発している。今日は大阪ガスの話題だ。今後、太陽光発電がますます一般的になると、天候の急な変動による電力出力の低下が非常な問題となる。現在はまだ太陽光発電による電力が少ないのでこの問題は出ないが、将来は、電力の内に太陽光発電の占める割合が多くなると、この問題が顕著になる。たとえば電力不足になり勝ちな夏の日中、急な雷雨があったとする。するとその地域の太陽光発電による電力出力は低下するので、それを補わないとその地域全体が電圧低下してしまう。企業としては、精密機械やIT機器を動かしていると電圧変動には弱い。そこで、太陽光発電の電力低下を検知すると、企業で動かしているガスコージェネレーション(熱電併給)システムの出力を上げてその企業内の電圧低下を防止する、といった製品が今回の新製品だ。そしてその検知には、送電網の周波数の変動を測って太陽光発電の出力低下を判断する、という技術のようだ。というわけでこの製品は企業向け製品だが、今後はこのような電力安定供給を目的とする製品がどんどん開発されるだろう。

 
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