国内 - 2


カテゴリー:国内

シャープがメガソーラー事業を始める

2012年03月14日

時事通信社サイトの3月9日記事「シャープ、メガソーラー建設へ=栃木など国内3カ所」から一部を引用する。

シャープは9日、栃木県など国内3カ所でメガソーラーの建設に乗りだす方針を固めた。今年7月には、再生可能エネルギーにより発電された電力の買い取りを電力会社に義務付ける法律が施行され、一定の収益が見込めると判断した。

栃木県矢板市の工業団地の土地(6.8ヘクタール)に約2000キロワットのメガソーラーを建設する準備を進めている。北海道では北見市と湧別町で約1500キロワットのメガソーラーをそれぞれ計画。既に土地を保有する地元自治体から建設予定地として借り受けることが固まっている。稼働時期については、買い取り価格など詳細が決まり次第、具体的に検討する。

シャープがメガソーラーに乗り出す、というニュースだ。太陽電池、太陽光パネルのメーカーが自らメガソーラーを建設するのは大変珍しい。

栃木県矢板市のその出力は2000キロワット、つまり2メガワットだ。また北海道に1.5メガワットを2つ、建設する予定。土地は自治体から借り受ける、とのことだ。

シャープはかつては世界に冠たる太陽電池・太陽光パネルメーカーだった。しかし今は大変な経営危機だ。昨日、3月13日の株価は終値が509円。500円割れがすぐそこに見え、500円を割ったら一気に急落も予想されている。当然、今年の春闘では定期昇給凍結を会社側は提案した、とのニュースもある。大赤字の原因は、液晶テレビの過大な在庫やら、昨年夏のタイ洪水やら、いろいろあるようだ。

その中で、最も付加価値の付く太陽光発電で、かつ太陽光パネルメーカーであることを生かして、メガソーラー事業を始める、といったところだろう。

ただその経営状況は非常に危ないようで、今後の推移が注目される。太陽光発電の立役者の同社にはなんとか踏ん張ってもらいたい。アジアの海外メーカーに吸収合併され、次世代太陽電池のノウハウを全部持っていかれてしまう、ということは絶対に避けなければならない。

教室の扇風機の電力はすべて太陽光発電

2012年03月09日

毎日新聞サイトの3月8日の北九州版記事「北九州市:小中学校の夏の猛暑対策、試算 扇風機なら太陽光発電で十分 /福岡」から一部を引用する。

北九州市は7日、市立小中学校(計193校)の夏場(7~9月)の猛暑対策をめぐり、扇風機と空調を比較した試算を2月議会の一般質問での答弁で公表した。市教委は「環境への負荷や設置費用から現状では空調設置は困難」との見解を示し、扇風機設置への理解を求めた。

試算によると、すべての普通教室に扇風機を設置した場合、消費電力量は20万キロワットで、学校の太陽光発電設備の発電能力30万キロワットでまかなえるとした。一方、空調整備の場合、消費電力量が714万キロワットになるとした。

教室の猛暑対策を巡って市教委は来年度当初予算案に扇風機設置のモデル事業として7500万円を計上。9割の教室が最上階にある小学6年生と、進学を控えた中学3年生の普通教室計約600教室を対象に1教室あたり4台の扇風機を設置する。その後、温度調査やアンケートなどで効果を検証し、全学年への拡大を判断する方針だ。
...(C)毎日新聞

私の小中学校時代、学校に冷房なんて無かった。暑いときは窓を全開して授業、だったように思う。暖房も充分ではなかった。ところが最近の学校は、冷暖房の空調完備も結構あるようだ。今日話題の北九州市は、「扇風機なら学校の太陽光発電で賄える」と、扇風機の設置を進めるとのことだ。

同市は、環境への負荷や設置費用の観点から冷房の空調設置は無理、との見解だ。特に全教室へ空調設備となると、膨大な費用がかかることは充分に想像が付く。そして同市の小中学校の太陽光発電能力が30万キロワットなので、扇風機ならその電力で全教室に複数代設置してもその消費電力20万キロワットは全てを賄える、とした。

30万キロワットということは300メガワットとなり、これは変だ。北九州市の全部の小中学校で太陽光発電したとしてその出力合計が300メガワットということはありえない。もしそうなら、北九州市は世界でダントツ1位の太陽光発電の町となる。それは違う。上記引用記事の「キロワット」はすべて「キロワット時」の誤りだろう。

もし同市の全小中学校の太陽光発電の「年間の」発電量が30万「キロワット時」とすると、出力はだいたい300キロワットとなる。そんなものだろう。(それでもたいしたものと思う。)すると、上記引用記事中の数字は次のようになるはずだ。

・学校の太陽光発電設備の発電能力: 年間発電量30万キロワット時
・すべての普通教室に扇風機を設置した場合の消費電力量: 年間20万キロワット時
・すべての普通教室に空調設備を設置した場合の消費電力量: 年間714万キロワット時

この数字を見れば、扇風機設置に傾くのは頷ける。同市はとりあえず、小中学校の最上階の600教室に4台ずつ扇風機を設置し、その効果を検証して全教室へ設置を進めるとの方針だ。

電気エネルギーを膨大に消費する現代文明へのちょっとした抵抗という意味も感じられ、この方針には賛成だ。

太陽光パネルオーナーと屋根オーナー

2012年03月07日

朝日新聞サイトの3月6日長野版記事”「相乗りくん」1号 太陽光発電を開始”から一部を引用する。

原発に依存しない自然エネルギーの普及に向けて活動する、NPO法人上田市民エネルギー(上田市)は5日、太陽光発電によるモデル事業「相乗りくん」の第1号が、上田市内の民家で発電を開始したと発表した。藤川まゆみ代表は「パネルオーナーの事業参加は全国どこからでも可能。より多くの市民に参加してもらえれば」と話している。
 相乗りくんは、ソーラーパネルを設置したいが自宅などでは難しい人(パネルオーナー)と、屋根を貸す人(屋根オーナー)をつなぐ事業。現在、パネルオーナーは27人。一方、屋根オーナーは上田地域を中心に4軒という。

パネルオーナーは10万円から参加できる。試算では、パネルオーナーは設置費用を負担するが、売電によって約10年で費用を回収できる。一方、屋根オーナーは自宅の屋根を活用。設置12年後以降はパネルが自分のものになり、売電料金を得ることが出来るという。

藤川代表は「日照率の高い上田で自然エネルギーを増やしていきたい。屋根がなくても、少額からでも参加できる。今後、太陽光発電だけでなく、ほかの自然エネルギーにも取り組みたい」と話した。(C)朝日新聞

太陽光発電をやりたいが設置場所の屋根が無い人、また設置費用すべての金額の負担は難しい人が居る。一方、自宅に太陽光発電設備を設置することは考えていないが設置場所の屋根を貸しても良い人が居る。この両者を結びつける仕組みが、今日話題の「相乗りくん」だ。これを発案したのはNPO法人上田市民エネルギー。具体的には、次のような仕組みだ。

パネルオーナー、つまり太陽光パネル設置費用負担者は、10万円から参加できる。この費用は売電により約10年で回収できる。

一方、屋根オーナーは、設置12年後以降は太陽光発電設備一式が自分のものとなり、以降、売電料金を得ることができる。

この仕組みは、屋根オーナー側に有利なように思う。パネルオーナーは売電により約10年でかけた費用を回収できるとあるが、この10年という年数は一律に必ずそうなるわけでは無い。屋根オーナーの電力使用状況によるところが大であるためだ。この7月から太陽光発電による電力すべてが電力会社に買い取られる法律が施行されるが、一般家庭においては7月以降も今までどおり、電力使用分を差し引いた、余剰分電力のみが売電の対象なのだ。

10年で元を取ったとしても、売電益を得られるのは、約1年間ということになる。売電による利益を得られるのは、パネルオーナーが最初の11年、屋根オーナーが12年目以降だからだ。

このシステムはスタートしたばかりだが、現在はパネルオーナーが27人、屋根オーナーが4人、とのことで、利益がより得られそうな屋根オーナーのほうが少ないのは意外だ。またパネルオーナーは小額の人が多いと予想される。

このシステム、若干の懸念もある。それは、故障時の費用負担だ。保障期間は問題ないとして、それ以外の期間の故障や、雹・落雷・地震などの天災による損壊時は、どちらが費用負担するのだろうか。もちろん実際の契約ではこのあたりはきちんと決められているだろうが、そのあたりはかなり知りたい情報だ。

それはともかく、太陽光発電を普及させる新たな仕組みを考えた同NPO法人に拍手!!。

ソフトバンクのメガソーラー

2012年03月05日

SankeiBizサイトの3月5日記事「ソフトバンクのメガソーラー、第1弾は京都と群馬で」から一部を引用する。

ソフトバンクグループで自然エネルギー事業などを手がけるSBエナジー(東京都港区)は5日、建設を計画している大規模太陽光発電所(メガソーラー)について、京都市と群馬県榛東村で4月に着工すると発表した。さらに徳島県での設置も決まったという。同社のメガソーラー設置が正式に決まったのは初めて。

ともに再生可能エネルギーの全量買取制度が始まる7月の稼働を目指す。

京都市では、同市伏見区淀水垂町と同区淀樋爪町にある埋め立て処分場の最大8万9800平方メートルの敷地に、京セラグループと協力して2100キロワット規模の発電所を2基建設。榛東村では、同村八州高原の村有地の最大4万9300平方メートルの敷地に、シャープなどと協力して2400キロワット規模の発電所を1基建設する。

ソフトバンクは全国十数カ所で計20万キロワット規模のメガソーラー建設を表明。3万キロワット級の発電所の設置が見込める鳥取県米子市の崎津工業団地が候補に挙がっているほか、昨年12月からは北海道帯広市の帯広競馬場に建設した大規模太陽光発電所(メガソーラー)の実験プラントが稼働している。(C)SankeiBiz

ソフトバンクのメガソーラーの建設がやっと決まった。「やっと」と言ったのは、この話題の発表されたのがかなり古いからである。このブログでは、昨年2011年5月23日記事「メガソーラーと電力ビジネス」で、ソフトバンクが全国10箇所に、それぞれ1~5メガワットのメガソーラーを建設する構想を発表した、ということを書いた。が、そこではソフトバンクの意図が純粋ビジネスのみである危惧について少し書いた。その予想は当たり、構想はしりすぼみの感があり、それを指摘した新聞サイト記事を読んだこともある。そしてやっと、本当にやっと、具体的な建設が発表された。

発表されたのは、京都市と群馬県榛東村のメガソーラー。京都市の方は、出力2100キロワット、つまり2.1メガワットの規模の発電所を2基建設するとのことなので、計出力は4.2メガワットとなる。京都なので京セラグループと協力して建設するとのことなので、太陽光パネルは京セラ製だ。

一方、群馬県榛東村は、シャープと共同で2.4メガワットのメガソーラーを1基建設する、とのことだ。

当初の昨年5月の計画公表から最初の建設発表まで随分時間がかかっている。あのソフトバンクが本気でやればこんなに時間がかかるはずは無い。恐らくビジネスとしてどの程度成功するかの検証に時間がかかっていたのではと思う。この間、ソフトバンクは帯広市に実験プラントを作っていた。雪のある帯広市でどの程度の発電が可能か、複数のメーカーの太陽光パネルでテストしていたのだろう。

それにしてもソフトバンクを見ていると、この太陽光発電には携帯・スマートフォンほど熱意が感じられない。ビジネスとして大きな成長が望めない事態になると、他社よりも早く放り出すような気がしてならない。同社の太陽光発電ビジネスには、どうも疑念が先に立ってしまう。

カナディアン・ソーラーが東北に工場

2012年02月27日

朝日新聞サイトの2月23日記事「カナダ太陽電池大手、福島か宮城に新工場を計画」から一部を引用する。

カナダの太陽電池大手「カナディアン・ソーラー」が、福島県か宮城県で、太陽光パネル工場の新設を計画していることがわかった。海外勢が国内に工場を建てるのは初という。

同社の計画では、年内にも着工し、2013年春以降に稼働させる。生産能力は年15万キロワット規模。投資額は数十億円を見込む。

同社はカナダ・オンタリオ州に本社を置く。国内では09年に日本法人を設立し、住宅用の太陽光発電システムを販売してきた。

7月から再生可能エネルギーの全量買い取りが始まるほか、宮城や福島は震災後の特区制度も使い企業誘致に力を入れる。これまで中国の工場から製品を運んできたが、日本で製造しても採算が取れると判断した。これから両県との交渉に入り、立地条件や優遇策もみながら、場所を選ぶ。(C)朝日新聞

カナディアン・ソーラーが福島か宮城に太陽光パネル工場を新設する、という話題だ。カナディアン・ソーラーの太陽電池シェアについて調べてみた。Wikipediaによれば、少々前だが2010年の太陽電池セル生産の上位10社にこのカナディアン・ソーラーは入っていない。しかし環境ビジネスサイトの2010年第1四半期データによれば、同社は世界6位だ。2010年通年では10位には入っていないが、10位以内に入れる能力のある会社、ということがわかる。

そのカナディアン・ソーラーが日本法人を設立したのが2009年で、日本向けの住宅用太陽光発電システムを販売してきた。同社のホームページの製品ページによれば、太陽光パネルは3種類ある。単結晶シリコン型が2種類、多結晶シリコン型が1種類だ。このページを見ると、多結晶も単結晶も変換効率が14~15%と全然変わりないことに驚く。日本の製品と比べると、単結晶の変換効率が低いようだ。また変換効率が低いはずの多結晶タイプの出力が高いのに驚くが、これはパネルの面積が広いためだ。

その同社が日本国内、それも大震災被災地の福島または宮城に太陽光パネル工場を建設するとのこと。日本メーカーは円高で工場をどんどん海外に移転しているのに、海外の会社が日本に工場を建設するのだ。その理由として、今後の日本で太陽光発電システムの大きな需要が見込まれること、中国の工場で生産して日本へ輸出よりは日本に工場を作ったほうが為替変動の影響を受けにくいこと、だろう。また、東北の復興需要も鑑み、東北に工場を作ったほうが輸送のメリットがあること、安い人件費が期待できること、また復興のための企業誘致の優遇が期待できること、等々、いろいろメリットがある、ということだろう。

ただ、放射能数値の高い福島が海外メーカーの工場建設の候補地ということに少々驚く。正確な(つまり国の発表ではない)放射能数値が海外に伝わっていない、ということだろうか。

ともあれ、日本製のカナディアン・ソーラー製品が出回ることで消費者の選択の対象も広がるので、期待しよう。

シャープの太陽電池の再編

2012年02月22日

朝日新聞サイトの2月21日記事「シャープ、太陽電池の生産再編-輸出用は海外委託」から一部を引用する。

シャープは太陽電池事業を再構築する。葛城工場(奈良県葛城市)では年産能力160メガワットの薄膜太陽電池の生産を当面停止し、同550メガワットの結晶系太陽電池のラインは減産。堺工場(堺市堺区)に生産を集中する。さらに海外市場向けの結晶系太陽電池は、中国、韓国、台湾メーカーからのODM(相手先ブランドによる設計・製造)調達に切り替える。シャープの太陽電池事業は海外メーカーとの価格競争や円高で採算が悪化しており、国内の生産体制見直しや輸出の実質停止などでてこ入れし、2012年度の黒字化を目指す。
...
薄膜太陽電池は主に海外の大規模太陽光発電所(メガソーラー)での需要を見込んでおり、イタリアの合弁工場を世界の輸出拠点に位置づける。一方、結晶系では国内市場を中心に受光面に電極のないバックコンタクト(電極裏面接続)構造を採用した高効率単結晶太陽電池モジュールなどの販売を強化するほか、再生可能エネルギー全量固定価格買い取り制度開始に伴い拡大が見込まれる公共・産業用の需要を取り込む。

また、10年に買収した米国の太陽光発電開発事業者のリカレント・エナジー(カリフォルニア州)と世界規模で連携しメガソーラー案件の獲得を急ぐ。シャープの11年度の太陽電池事業の販売量は前年度比11・4%減の1100メガワット、売上高は前年度比24・7%減の2000億円、営業損益は240億円の赤字を見込んでいる。(C)朝日新聞

世界に冠たる太陽電池メーカーのシャープが、太陽電池事業の再構築を余儀なくされている。大きな原因は、円高と、中国・韓国・台湾などのメーカーとの価格競争のようだ。なにせ、2011年度の営業損益は240億円の赤字というから、大変な苦境だ。

シャープの太陽電池といえば単結晶シリコン型をすぐに思い浮かべるが、同社はそれだけではなく、多結晶シリコン型やシリコン薄膜型の太陽電池も生産している。その薄膜タイプを生産している奈良県の工場で、同タイプの生産を中止し、結晶系も原産する、とのことだ。さらに、海外向けの結晶系は、OEMに切り替える、とのことだ。OEMなら海外への技術移転は無いことは結構だが、買う立場としてはシャープを買ったつもりが東南アジアの安いメーカー製、ということになり、いかがなものだろうか。

薄膜型の太陽電池は変換効率がかなり低いので、太陽光パネルの設置場所を広く確保できる、海外のメガソーラー向けの需要を見込んでおり、同タイプはイタリアの合弁工場での生産で世界に輸出する予定だ。

もちろん日本国内生産は、高性能な太陽電池に絞る。シャープは、中心に受光面に電極のないバックコンタクト(電極裏面接続)構造を採用した高効率単結晶太陽電池がウリだ。電極が表に無いことで太陽光を受ける面積が広がり、発電効率のアップに繋がる。このバックコンタクト技術が開発されたのは古く、2005年のシャープの論文「高効率シリコン裏面電極型太陽電池」に報告されている。そしてこの技術の製品が出現したのは、「シャープ、堺工場で新型単結晶太陽電池の量産を開始」に書かれているとおり、2010年度だ。技術を開発してから量産体制に入るまで、5年を要するものらしい。

このバックコンタクトの太陽電池については、同社のホームページ「高効率単結晶シリーズ誕生」に書かれている。この技術で単位面積当たりの受光量を増やすだけでなく、送電ロスを増やす技術、低反射ガラスでやはり受光量を増やす工夫なので、効率がかなり高く、より少ない面積(1枚1.3平方メートル程度の太陽光パネル)で出力約0.21キロワットを確保している。シャープらしい、オーソドックスな手法の製品と思う。

 
QLOOK ANALYTICS