2011年8月 | 太陽光発電 何でも情報


2011年8月

レーザー光を地球に送る宇宙太陽光発電

2011年08月03日

読売新聞サイトの7月24日記事「夢の宇宙太陽光発電、福井大などが装置研究」から一部を引用する。

天候や時間帯に左右されない太陽光発電の実用化に向け、福井大大学院の金辺忠准教授(工学研究科)が、宇宙空間で太陽光を効率的にレーザー光に変え、地上に送る装置の研究を宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で進めている。

装置が完成すれば、地上で受け取った光で発電し、原発1基分にあたる約100万キロ・ワットをまかなえるという。

反射鏡形の装置(縦約200メートル、横約2キロ)を約3万8000キロ上空に飛ばす。金辺准教授は太陽光を吸収・透過しやすい素材を開発。この素材を装置に組み込み、分散している太陽光を“整列”させてレーザー光に変換する。レーザー光は真っすぐな光のため、太陽光よりも強い光を地上に届けられるという。

地上での太陽光発電は、光の差さない夜間に発電できず、雨や曇りだと発電効率が落ちる欠点がある。人工衛星などに太陽電池パネルを搭載し、宇宙空間での発電も行われているが、効率的に光を地上に送る技術が確立されていなかった。

JAXAは2025~30年をめどに試験装置を設置する予定。...(C)読売新聞

壮大な宇宙太陽光発電の話題だ。天候に左右されない宇宙での太陽光発電は魅力的だが、その電力をどのように地球に送るのか、が最大の問題だった。今までに一般的な解としては、波長の短い電波でピンポイントに地球に送る、だった。ただこの方法では、電波では波長を短くしてもある程度拡散すること、またそのピンポイント先が事故などでズレた場合の被害をどうするか、の問題があった。天から強力な電子レンジの電波ビームが自分に突き刺さる、と考えるとわかりやすい。

今回話題の方法は、地球への電力の送信に光を使用する。レーザー光だ。レーザー光なら拡散は非常に少なく、また波長が揃っているため強力な光となる。つまり効率良く送信できるということだ。

宇宙上では次の動作となる。通常の太陽光発電とは全く異なる原理だ。宇宙上には200メートル×2キロメートルという、非常に細長く巨大な鏡を置く。その鏡で太陽光を集光し、新開発の素材で波長を揃えてレーザー光に変換する。それを地上に送信する、というやりかただ。

地上ではその光を受け取り、太陽電池で電気に変える。この規模で、なんと原発一基分の100万キロワット、つまり1ギガワットもの発電が可能となる。

大変な技術だ。ただ、一抹の、いやそれ以上の不安もある。電波ではなくレーザー光としても、万が一の事故で超強力なレーザー光が降って来る事態が考えられるからだ。そして、これを兵器として他国に向けることも不可能ではない。夢の技術が実現できることは素晴らしいが、実用化は少々怖い。今回の原発事故で、人類は科学技術を弄ぶとそれから復讐されることを学んだはずだからだ。

金沢大が開発中の有機薄膜太陽電池

2011年08月19日

金沢市にある北國新聞(ほっこくしんぶん)サイトの8月8日記事「塗る太陽電池実用化へ 金大と被災企業タッグ 」から一部を引用する。

金(沢)大の研究チームが独自の「塗る太陽電池」を開発し、東日本大震災で被災した宮城県の企業と連携して、実用化に向けた研究開発に乗り出した。理工研究域物質化学系の高橋光信教授らの技術で、世界中で開発が進む塗る太陽電池の中でも、大気中で作製できる点や耐久性の高さが特長。次世代エネルギーへの関心が高まる中、「この事業に命運を懸ける」という被災企業の挑戦を後押しする。

塗る太陽電池は「有機薄膜太陽電池」と呼ばれる。金大の研究チームは、宮城県のベンチャー企業「イデアルスター」(仙台市)とガラス・土石製品製造の「倉元製作所」(栗原市)と契約し、実用化に向けた研究開発を進めている。

有機薄膜太陽電池は、多くの太陽電池に使われているシリコンの代わりに有機半導体を用い、溶剤に溶かして基板に塗る。大規模な設備が必要なシリコンと比べて生産コストは約10分の1で、軽く、柔軟性に優れているなどの長所がある。

金大の研究チームはさらに大気中でも性質が安定している材料を使い、「逆型」と呼ばれる構造を採用。従来の製造工程と大きく異なり空気中での作製が可能となった。
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高橋教授によると、この電池が光エネルギーを電気に変換する発電効率は現段階で2~3%で、シリコン系太陽電池の15~20%と比較すると大きく劣る。高橋教授は「柔軟な発想があれば使い道は無限にある。企業の生産技術やアイデアを生かして普及させたい」と話した。(C)北國新聞

この塗る太陽電池、つまり有機薄膜太陽電池の話題だ。金沢大の研究チームが企業と連携して実用化に向けた研究開発を行っている。この有機薄膜太陽電池は通常の太陽電池の原料であるシリコンは使用せず、有機半導体を溶剤に溶かして基板に塗る。この方法が故に生産コストはシリコン型のなんと1/10とのことだ。

これは有機薄膜太陽電池の一般的特徴だが、この金沢大チームの有機薄膜太陽電池の特徴は、製造時に空気中での作成が可能なことだ。ということは、通常の有機薄膜太陽電池は大気とは隔絶された閉じた系で作らなければならないのに対し、さらにコスト減が期待できる、ということになる。

この金沢大チームの有機薄膜太陽電池の最大の欠点は、その発電効率だ。なんと、まだ2~3%とかなり低い。単結晶シリコン型は20%程度、三洋電機のHIT太陽電池は23%なので、その約1割ということだ。これではまだまだ使えない。

有機薄膜太陽電池については、このブログでは7月20日に「塗る太陽電池」記事を書いた。その中で、三菱化学が変換効率10%を超える試作品の作成に成功した、とある。金沢大チーム、実用化といえるには残念ながら多大な性能アップが今後必要だ。

 
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