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2010年6月

パナソニックが太陽光発電に参入、トップを目指す

2010年06月01日

5月31日付けの朝日新聞サイト記事「パナソニック、太陽光発電に本格参入 国内トップ狙う」から一部を引用する。

パナソニックは31日、急成長している太陽光発電システムに本格参入すると発表した。子会社化した三洋電機から太陽電池を調達し、傘下の地域店や家電量販店、住宅設備店など関係が深い計14万9千店で販売する。2009年に3位の約20%(三洋のみ)だった国内シェアを12年にはグループ全体で35%に引き上げ、現在首位のシャープを上回り国内トップを目指す計画だ。

世界最高レベルの変換効率を持つ三洋製の「HIT太陽電池」を用い、デザイン性に配慮して屋根瓦と一体化させたタイプも新たにそろえた。7月1日から受注する。家庭内の配電システムなどはパナソニックが開発、薄型テレビ・ビエラに発電量や電力消費量などを表示できるようにするなど独自性も強調した。

...兵庫県尼崎市のプラズマテレビパネル工場を転用し、12年度後半に太陽電池の新工場を稼働させて大幅に増産する計画だ。(C)朝日新聞

パナソニックは昨年、三洋電機を子会社化した。パナソニックの狙っていたものの一つが三洋電機の太陽電池だ。営業・販売力・大量生産能力のパナソニックと技術の三洋というイメージが強いこともあり、三洋電機の太陽電池・太陽光発電パネルをパナソニックが強力に販売することは予想されていた。両社が合併後半年以上経過し、それが現実になった。パナソニックが太陽光発電に本格的に参入し、国内トップシェアを狙う、というニュースだ。

パナソニックには大きな販売網がある。それを利用し、太陽電池・太陽光パネルは三洋電機から調達して販売。太陽光発電のモニターをテレビに表示する仕組みも開発する。またデザイン性を重視した太陽光パネルも開発済みだそうだ。

そして目指すは国内トップシェア。2009年の太陽電池の国内シェアは、三洋電機は3位で20%。そしてパナソニックは0だった。それを、2010年にはパナソニック・三洋電機あわせて国内シェア1位、35%を目指す、とのことだ。引用記事には、商用レベルでは世界最高の変換効率の三洋電機のHIT太陽電池がその目玉商品のようにかいてあるが、三洋電機はHIT以外にも安い(が変換効率は高くは無い)シリコン薄膜系の太陽電池もある。その2種類の性格の異なる太陽電池でパナソニックは積極的営業を展開することだろう。両社の合併時からこのことは予想されていたことなので、トップシェアのシャープは既に対応策は確率済みとは思うが、どのような競争になるか、楽しみだ。

MPPTの付いた太陽電池を備えた携帯用充電器

2010年06月02日

少し前になるが、朝日新聞サイトの5月17日付、日刊工業新聞記事「ドコモ、携帯用ソーラー充電器を開発」から。

NTTドコモは太陽光を利用する携帯電話向けの充電器「ecoソーラーパネル01」を開発した。快晴下であれば、4―5時間でフル充電にできる。全国のドコモ取扱店で7―8月に発売予定。価格は未定。電源を得られない屋外で携帯を充電できる利便性のほか、環境配慮性も訴え拡販を図る。

太陽電池から効率よく電力を取り出す「MPPT」技術を採用した。サイズは縦186ミリ×横103ミリ×厚さ17ミリメートル。30分の充電で30分以上の連続通話が可能な発電力を実現した。同社の第3世代携帯電話「FOMA」の端末に対応する。 (C)日刊工業新聞社

NTTドコモが、太陽電池を装備した携帯電話機用の充電器を開発した、というニュースだ。快晴の太陽光であれば4、5時間でフル充電可能で、また30分の充電で30分以上の連続通話が可能、という性能だ。

このような太陽電池を備えた携帯用充電器は既に各社から発売されているが、このNTTドコモの製品の特徴は、「MPPT」だ。引用記事によれば、MPPTとは太陽電池から効率よく電力を取り出す技術、とのこと。さてMPPTとは何だろうか。

MPPTは「最大電力点追従装置(Maximum Power Point Tracker, MPPT)」のことで、Wikipediaによれば「日射量や負荷にかかわらず、太陽電池側からみた負荷を常に最適に保つ」装置、とのことだ。これだけでは何のことかわからない。さらに調べると、このMPPTのしくみの解説がわかりやすい。さらに簡単に説明すると、MPPTとは次のしくみだ。

太陽電池の出力は、日照が一定であっても最大出力が得られるわけではない。接続された機器の電圧により、出力は高低する。太陽電池には発電電力が最大になるような電圧がある。接続された機器がその電圧なら最大の出力が得られるが、そのようなことは稀だ。またその発電電力が最大になるような電圧も、日照により値が変わる。そこで、太陽電池と接続機器の間に、太陽電池が最大の電力を発生するように電圧を調整する機器を挿入すると良い。その装置がMPPTだ。
一般の住居用の太陽光発電設備であれば、MPPTの機能はパワーコンディショナーが持っているのが普通だ。

ということで、太陽電池の面積が小さい携帯用充電器にMPPTを備えることで、より多くの電力が得られるのが今回の携帯用充電器だ。

目的は異なるがMPPT単体装置が一般向けに販売されておりそれは数万円する。その機能を小さな携帯用充電器に入れたのだから、これは携帯屋でないと開発できない代物かもしれない。

日照量予測による電力安定供給実験

2010年06月21日

少し前だが、東京新聞サイトの6月4日記事「雲の動き解析し電力安定供給 三洋、米大学と実験へ」から。

三洋電機は4日、米カリフォルニア大サンディエゴ校と共同で、太陽電池とリチウムイオン電池を組み合わせた電力の安定供給実験を実施すると発表した。太陽光発電は天候に左右されることから、雲の動きを解析して供給の調整に活用する。

校内にある複数のカメラ画像などから日照量の変化を予測する同大の技術を利用し、電気を蓄えてあるリチウムイオン電池からの供給量を調整する。出力30キロワット程度の太陽電池を設置し、校内の小規模な店舗に電力を供給する計画という。

実験期間は7月から3年間。大学側に研究・実験費として3億円を提供する。三洋は「将来的には規模を拡大していきたい」と説明している。(C)東京新聞

同じ内容の記事が東京新聞の3日遅れで朝日新聞サイトに掲載された。6月7日付け記事「太陽光発電、雲の位置予測し安定供給 三洋など米で実験」だ。

三洋電機は太陽電池で起こした電力を蓄電池にためるスマートエナジーシステム(SES)を使い、電力を安定供給する実証実験を米国で始める。雲の位置を予測する技術を持つカリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)と提携、太陽電池の出力が急激に落ちても停電しないシステムの開発を目指す。

電力供給が日本にくらべて安定していない米国では、急に曇るなどして太陽光発電所の出力が落ちると広範囲で電力不足に陥る可能性がある。新システムでは同校の技術で曇り出す時刻を正確に割り出し、前もって蓄電池から放電を始めて停電を防ぐという。

実験は7月1日から3年間。三洋製の太陽電池、リチウムイオン電池、制御装置など3億円相当分をUCSDに提供する。まずはキャンパス内の売店などに太陽電池とリチウムイオン電池を設置して実験し、将来は規模を拡大していくという。三洋は2015年度までにSES事業で1千億円の売上高をめざしている。(榊原謙)(C)朝日新聞

この記事の要旨は、三洋電機が米国カリフォルニア大学サンディエゴ校と提携して太陽光発電電力の安定供給実験を行う、というものだ。カリフォルニア大学サンディエゴ校には、カメラ画像から日照量の変化を予測する技術がある。その技術で曇り始める正確な時刻を計算し、その時刻前からリチウムイオン電池に蓄えられた電力を放電して安定した電力供給を図るというシステムだ。三洋電機側は、太陽電池・リチウムイオン電池、制御装置などハードウェア関係を負担する。その金額は3億円、とのことだ。

同じ内容を複数の新聞記事で比較すると興味深い。今回の記事において、東京新聞のみに書かれていたことは、「校内にある複数のカメラ画像などから」日照の変化を予測する、ということだ。朝日新聞には「雲の位置を予測する技術」としか書かれていない。しかしこの2つを併せると、より多くの情報になる。"校内にある複数のカメラ画像などから雲の位置を予測して日照量の変化を予測する技術"ということだ。

また朝日新聞にのみ書かれていたことは、次の2つだ。
(1)「電力供給が日本にくらべて安定していない米国では、急に曇るなどして太陽光発電所の出力が落ちると広範囲で電力不足に陥る可能性がある。」このことは東京新聞では触れられていない。
(2)三洋電機の3億円が太陽電池、リチウムイオン電池、制御装置などの現物提供であること。東京新聞では、「大学側に研究・実験費として3億円を提供」と書かれているがこれでは金銭の提供と読み取ってしまう。

このブログではいままで朝日新聞などの大新聞の記事を、冗長であると散々非難してきた。しかし、今日の比較に関しては、朝日新聞の勝ちだ。この朝日記事を書いた榊原氏はコンパクトに正確に記事をまとめる力があると思う。

アジア各国の太陽光発電を予測

2010年06月23日

6月18日付の朝日新聞サイト ロイター社記事「情報BOX:アジア地域の太陽光エネルギー生産見通し」から一部を引用する。たくさんの重要な情報を含む記事だ。

アジア地域の太陽光エネルギー生産能力は、政策面での後押しが続けられれば5年以内に世界全体の4分の1に達し、米国を追い抜く可能性がある。

欧州太陽光発電産業協会(EPIA)によると、2009年にはアジア地域で1000メガワット(MW)近くの太陽光発電能力が加わり、そのうち半分を日本が占めた。
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2014年までに、中国、インド、日本、韓国がアジアの太陽光市場の90%以上を占めることになりそうだ。(C)ロイタージャパン

この記事は欧州太陽光発電産業協会(EPIA)の調査に基づくようだ。アジア地域の太陽光エネルギー生産能力は、あと5年以内に世界の1/4に達し、米国を抜く可能性がある、という予測だ。また2014年までに、アジアの太陽光市場の9割が中国・インド・日本・韓国となりそう、という予測だ。


日本は次のとおり。

太陽光エネルギー市場の規模は世界第3位。家庭用太陽光発電システム導入に対する補助金制度が普及を後押しした。

EPIAの予測では、日本の今年の市場規模は1000MWとなる見通し。

日本政府は2020年までに温室効果ガス排出量を1990年比で25%削減する方針を表明。目標達成に向け、太陽光など再生可能エネルギーの利用を拡大している。
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2020年までに太陽光発電能力を28ギガワット(GW)、2030年までに53GW追加することを計画。(C)ロイタージャパン

EPIAの予測では、今年(2010年)の太陽光発電市場規模は1000メガワット、つまり1ギガワットだ。なお日本は、太陽光発電量を2020年までに28ギガワット、2030年までに53ギガワットとする計画だ。


中国は次のとおり。

太陽光パネルの供給量は世界最大級だが、国内ではほとんど消費されていない。EPIAによると、発電能力12GW以上の大規模プロジェクトが進行中で、中国はすぐに主要市場となる可能性がある。
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昨年に追加された太陽光発電能力は160MW。

非公式目標によると、2020年までに発電能力20GWを目指す。業界専門家は、政府が固定価格買取制度あるいは太陽光エネルギーを優遇する料金体系を導入した場合、この目標は達成可能とみている。(C)ロイタージャパン

中国は太陽光パネルの世界の工場といえる存在だが、中国国内ではほとんど消費されていない。昨年増えた太陽光発電量は160メガワットに過ぎない。なので大きな市場になる可能性を秘めている。中国は、2020年までに太陽光発電能力を20ギガワットとする計画とのことだ。


インドは次のとおり。

中国に続き、2022年までに発電能力20GWを目指す野心的な目標を設定。ただ、太陽光発電機器の生産能力は中国と同水準ではない。インドでの太陽光需要増の恩恵を最も受けるのは、中国の太陽光発電関連会社とみられる。
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太陽光エネルギーなど再生可能エネルギーの開発を通じ目標達成を目指す。インドでの電気需要の高まりと高い日照水準は、大規模な太陽光発電機器市場が形成される可能性を示唆している。(C)ロイタージャパン

インドも中国とほぼ同様の2022年に20ギガワットの目標だ。ただインドの太陽光パネル生産能力は高くはないので、中国のメーカーが利益を得るだろう、という予測だ。


韓国は次のとおり。

日本と同様、太陽光発電市場への参入にあたり、電子工学と高度製造業の技術を活用している。ただ、参入時期は比較的遅く、日本や中国との差別化が必要になるだろう。

2009年に追加された太陽光発電能力は168MWに減少。08年の発電能力急増を受け、太陽光発電セクターに対する補助金が削減された。

それでも、政府は太陽光発電市場の発展に積極的で、電力会社に対し、発電能力全体の少なくとも2%を再生可能エネルギーで調達することを求めている。(C)ロイタージャパン




その他のアジア・オセアニアの国は次のとおり。

オーストラリアで2009年に追加された太陽光発電能力は66MW。2020年までに電力の20%を再生可能エネルギーで賄うとする目標に近づいている。政府による補助金給付制度が中心となって、オフグリッド(送電網に接続されない独立型)太陽光発電システムの普及を支えている。さらに州政府レベルで固定価格買取制度を導入し、太陽光発電の普及促進を目指している。

台湾では太陽電池の製造基盤が成長してきた一方、太陽光発電能力は依然小さい。太陽電池供給でアジアをリードするため、電子チップの生産技術を活用している。(C)ロイタージャパン

オーストラリアの特徴は、送電網に接続されない独立した太陽光発電システム(これをオフグリッドと言う)が普及している、とのこと。さすがに広い国のオーストラリアは送電コストを考えると「地産地消」が望ましい、ということだろうか。

 
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