太陽電池の日本メーカーの現状と将来

太陽電池の現状と将来を、特に日本のメーカーの視点で説明します。

太陽電池の現状

世界における日本の太陽電池シェアは2007年に約4分の1でした。しかし2005年末では日本のシェアは世界の55%でした。日本の太陽電池メーカーのシェアは急速に落ちています。世界で急成長しているメーカーは、ドイツのQセルズと中国のサンテックです。日本のメーカーが競争力を失っている原因を探ります。


シリコンの高騰


シリコンの単結晶・多結晶系太陽電池はシリコン薄膜系よりシリコンを大量に使用します。
シリコン結晶系はシリコンを薄切りにして使用するのに対し、薄膜系はシリコンを真空で蒸着しますので、そのシリコン使用量が大幅に違うことがわかります。


昨今シリコン需要に火が着き、シリコンは高騰しています。シリコンは太陽電池のみならずパソコンの半導体にも使用されることもあり、需要が収まる気配はありません。


その上、シリコン原料のケイ石のシェア8割の中国が輸出規制を始めているそうです。


以上の理由で、シリコン結晶系は今後は苦しい戦いを強いられます。そこでシリコン結晶系のメーカーは、シリコン薄膜系や他の方式の太陽電池を視野に入れ始めています。


ターンキー製造システム


シリコン薄膜系太陽電池は、材料を投入してスイッチをひねる(ターンキー)するだけで製造できる製造システムが販売されるようになりました。この設置のために費用はかかりますが、他の方式と違ってノウハウがなくても資金さえあればシリコン薄膜系太陽電池製造に参入できるようになりました。


この製造システムのおかげで世界中で雨後のタケノコの如くメーカーが製造を始めています。


シリコン薄膜系は結晶系より発電効率は落ちます。しかし、低い発電効率であっても途上国向け太陽電池には充分に使えます。また研究の成果で発電効率は徐々に上がって来ています。


大変残念なことに、研究にお金は使わず、資金力で製造システムを購入し、シリコンを大量に入手できる会社が有利になってきました。日本の会社は膨大な研究費を投入していますので、この戦いは日本のメーカーに不利です。

太陽電池の将来

前項のとおり、シリコン系は結晶系から薄膜系にシフトしてゆくでしょう。


また世界のマーケットは、「価格が高くても良いから高発電効率」と、途上国向けの「低発電効率で良いから価格ができるだけ安く」に二分化されるでしょう。後者は、色素増感太陽電池のような印刷技術を応用して大量生産できる太陽電池が有利でしょう。


さて前項のとおり、日本のメーカーには不利な材料ばかりです。いま日本で太陽光発電システムの販売・設置業者はほとんどが日本のメーカーの太陽電池を取り扱っています。しかし、日本製が価格競争に負け海外メーカーが頭角を現す時期ももうすぐです。


あるコンサルタント会社は、「日本の太陽電池メーカーは半導体のようにアジア・中国・台湾メーカーに負け、あと5年後には日本メーカーはトップ10にはいない」という厳しい見方をしています。


日本のメーカーの生き残る道は、シリコン系以外の太陽電池でしょう。それも、希少金属を使用しないタイプです。いくら高変換効率の太陽電池を開発してもそれに希少金属が必要であれば、資源の無い日本には勝ち目はありません。


また、数十年先を見越した新しい太陽電池の研究も必要です。それが「量子ドット太陽電池」です。これは量子力学理論を応用したもの。理論的には変換効率が60%にも及ぶ優れた未来技術です。

QLOOK ANALYTICS