太陽光発電のドイツでの急速な普及の理由

太陽光発電システムがドイツでは急速に普及し日本ではそうではない理由について、制度の面から説明します。

2位転落

日本は高度な太陽電池技術で世界をリードして来ました。しかし2005年、太陽電池の設置量で日本はドイツに抜かれ、2位に転落してしまいました。そしてこの年、国の太陽光発電システム設置への補助が打ち切られる、という最悪の事態になりました。(国の補助金は2009年度から復活します。)


ドイツは急速に太陽光発電システムの設置を伸ばしました。しかし日本はそうではありませんでした。その理由は、ドイツと日本の政策の違いです。その違いは次のとおりです。

フィード・イン・タリフ(FIT)

ドイツが採用した政策はフィード・イン・タリフ(FIT)。これは「固定価格買取制度」と訳されています。それは、太陽光などの再生可能エネルギーで発電した電力を、電力会社が通常電気料金の2、3倍の高い値段で長期(ドイツでは20年)にわたり買い取る制度です。この価格はコストダウンにより毎年見直されます。ドイツでは年に約5%減とのこと。しかしこの見直し価格は既に導入済みのユーザには影響しません。太陽光発電システムを導入したときの価格のまま、固定価格のままです。このため長期にわたり固定価格で余剰電力を電力会社に買い取ってもらえますので、設置者は必ず短期間に元が取れることが計算できます。この制度のため、ドイツでは急速に太陽光発電システムが普及しました。


このフィード・イン・タリフ(FIT)制度は、スペイン、フランス、イタリア、ギリシャなど欧州各国の他、米国や韓国でも採用されています。

RPS制度(Renewables Portfolio Standard)

日本が採用している制度はRPS制度。電力会社に対し、ある一定割合以上の再生可能エネルギーで発電を義務付けた制度です。日本ではこの法律が2003年4月から施行されました。


この特徴は、グリーン証書です。決められた再生可能エネルギー発電量より多く発電した分をグリーン証書として販売できます。決められた発電量に達しない電力会社は、そのグリーン証書を買うことで義務を達成できるのです。この売買に市場原理が働くことで、より安いコストにて再生可能エネルギーの発電が可能になる、という思想が背景にあります。

FITRPS

国別普及効果指数

この図の出典はEU Report (Dec.2005)。(図をクリックすると大きな図が別ウィンドウで表示されます。)太陽光発電ではなく風力発電でのFITRPSの比較です。縦軸は、普及効果指数。グラフの棒の高さの高い、デンマーク(DK)、ドイツ(DE)、スペイン(ES)はすべて、フィード・イン・タリフ(FIT)を採用しました。


片や、棒の高さの低い、ベルギー(BE)、イタリア(IT)、イギリス(UK)はすべてRPS制度です。


これを見れば、RPSFITでは普及効果に大きな差があることが一目瞭然でわかります。


日本は2009年度から太陽光発電システム設置時補助金を復活させました。しかし、フィード・イン・タリフ(FIT)導入の話は全くありませんでした。今までの太陽光発電システム普及の遅れを早急に取り戻すためにも、フィード・イン・タリフ(FIT)制度の導入は是非必要です。


日本政府も重い腰をやっと上げ、2010年4月から同制度をスタートさせることになりました。電力会社が上乗せ価格で太陽光発電余剰電力を買い取るための原資は、全世帯への電気料金上乗せです。2009年7月23日、経済産業省の総合資源エネルギー調査会の小委員会は、「上乗せ額は、2011年度は標準家庭で一カ月当たり三十円程度、2015年度には最大で百円程度になる見通し」と発表しました。


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